微分
週刊「少年ジャンプ」に連載されている漫画で,理系科目の得意な文系志望の女子生徒と文系科目の得意な理系志望の女子生徒に苦手科目を教える男子生徒が奮闘する話です.アニメを観た後に気になって漫画を読んでみました.
先生「はい,じゃあこの問題,解けた人から前に出て解いてもらおうかな」
f(x)=x3+ax2+bx
x=1√3のとき,極小値−2√39
a=,b=
また,関数f(x)の最大値は?
(緒方理珠が黒板に解答を書く)
a=0,b=−1
x=−1√3のとき,最大値2√39
先生「ぜ…全部正解です.でも…緒方さん,途中式は…?」
理珠「途中式….すみません,とばして解いてしまいました」
![]() |
y=x^3-x のグラフ |
f′(x)=3x2+2ax+b なので,
f′(1√3)=1+2a√3+b=0
f(1√3)=√39+a3+√3b3=−2√39
この2式より,a=0,b=−1 となり,
f(x)=x3−x
f′(x)=3x2−1
よって,x=−1√3のとき,極大値2√39となるので,「最大値」ではなく,正しくは「極大値」ですね.
ここで,a+b√3(a,bは有理数)という形の数全体は「a+b√3=0 ならば a=b=0」(代数学の用語を使っていうと,有理数体Qに√3 を添加してできる拡大体の元は代数的独立)なので,a=0,b=−1を出すには,式(1), (2)のどちらかだけで十分ですね.つまりこの問題は条件過多になっています.
気になったので,アニメの方の第1話を観てみたら,似た問題が使われていました.
関数f(x)=-x^3+ax^2+bx+6\quad(-3≦x≦1) が,途中式を確認してみましょう.
f(2)=0
x=1/\sqrt{3}のときに極大値を取る
の2点を満たすとき,a,bの値を求めよ.
(緒方理珠が黒板に解答を書く)
先生「ぜ…全部正解です.でも…緒方さん,途中式は…?」
理珠「途中式….すみません,見た瞬間,答えが分かったので,とばしてしまいました」
f(2)=0より,
-8+4a+2b+6=0\tag{3}
f'(x)=-3x^2+2ax+b なので,
f'\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)=-1-\frac{2a}{\sqrt{3}}+b=0\tag{4}
この2式より,a=0, b=1 となる
ここでも,a=0, b=1を出すには,式(4)だけで十分ですね.つまりこの問題も条件過多になっています.しかもこの問題,f(2)=0といいながら,x=2は定義域 (-3≦x≦1) に入っていません.この定義域を与えることも必要ないでしょう.
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