Saturday, 18 August 2018

小説 夜中に犬に起こった奇妙な事件

マーク・ハッドン著 2003年

素数 モンティ・ホール問題 ロジスティック写像

近所の犬が殺された事件の解明をしようとする,自閉的傾向のある少年クリストファーの視点で語られる小説です.物語の流れとは関係なく数学や理科の話が唐突に出てきます.

モンティ・ホール問題

1990年代に米国で大きな議論になった問題です.
あなたがテレビのゲーム番組に出るとする.このゲーム番組の目的は,賞品の車をあてることだ.ゲーム番組の司会者はあなたに3つの扉を見せる.この3つの扉のうちの1つのうしろに車があり、残りの2つの扉のうしろにはヤギがいるという.司会者はまず1つの扉を選ぶようにという.あなたは扉を1つ選ぶけれど,それは開けてもらえない.それから司会者はあなたが選ばなかった扉の1つを開けてヤギを見せる(なぜなら司会者はその扉のうしろになにがあるか知っている).それから司会者は、あなたが残りの扉を開けて車かヤギのどちらかを手に入れる前に1度だけ考えを変えてもいいという.そこで司会者はあなたに,考えを変えてもう1つの開けていない扉を選ぶかどうかたずねる.あなたはどうすべきか? 
3つの扉をそれぞれX, Y, Zと呼ぶこととする.CXを扉Yのうしろに車がある事象とし, CY, CZも同様とする.HXを司会者が扉Xを開ける事象とし,HY, HZも同様とする.あなたが扉Xを選んだと仮定すると,考えを変えてちがう扉を選んだときに車が当たる確率は以下の式によって求められる.
P(HZ∩CY)+P(HY∩CZ)
=P(CY)P(HZ|CY)+P(CZ)P(HY|CZ)
=(1/3×1)+(1/3×1)
=2/3
従って,考えを変えてちがう扉を選んだ方が車の当たる確率が高いということになります.これはもともとモンティ・ホールという人が司会をしていたTV番組の中のゲームですが,今は高校の数学の教科書の「条件付き確率」のところで紹介されています.当時は当たる確率が直観的な1/2なのか,正しい2/3なのかで大きな議論になりました.上の文字式の意味は次のようになります.

(あなたが最初に扉Xを選んだあと)「扉Yのうしろに車があって司会者が扉Zを開ける確率」+「扉Zのうしろに車があって司会者が扉Yを開ける確率」

ロジスティック写像

この名前を出さずにいきなり以下の式が「謎ではない謎の例」として登場します.
ここに生き物の数の公式がある.
Nnew=λNold(1-Nold)
Nnewはある年の個体密度を表し,Noldは前年のそれを表す.λはある定数である.
λが1より小さいならば,個体数はだんだん減って絶滅に至る.λが1と3のあいだであれば,個体数は増え,定常状態になる.そしてλが3と3.57のあいだの場合は,個体数は周期的に変動するようになる.しかし,λが3.57より大きいときはカオスになる.
生物の個体数の推移を表すロジスティック方程式という微分方程式$$\frac{dN}{dt}=\frac{r}{K} (K-N)N$$があり,これを普通に解くとロジスティック関数が得られますが,小説に登場した式を得るには,この左辺の微分係数を差分商$\varDelta N/\varDelta t$に置き換えて次のように変形します.$$\frac{N_{n+1}-N_n}{\varDelta t}=\frac{r}{K} (K-N_n)N_n$$$$N_{n+1}=N_n+r\varDelta t N_n-\frac{r\varDelta t}{K} N_n^2$$$$N_{n+1}=\{ (1+r\varDelta t)-\frac{r\varDelta t}{K} N_n \} N_n$$この両辺に$\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}$を掛けて,$$\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_{n+1}=\{ (1+r\varDelta t)-\frac{r\varDelta t}{K} N_n \} \frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_n$$$$\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_{n+1}=(1+r\varDelta t)\{ 1-\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)} N_n \} \frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_n$$ここで$\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_n=x_n$,$1+r\varDelta t=a$とおけば,$$x_{n+1}=a(1-x_n)x_n$$この漸化式はロジスティック写像と呼ばれています.$x_n$はある時刻の個体数の割合,$x_{n+1}$はその次の時刻の個体数の割合です.生物によって$a$の値が異なり,様々な個体数推移パターン(絶滅,定常状態,周期的変動,カオス)があります.

ロジスティック写像は$x_n$の2次関数になっていて,頂点は$(\frac{1}{2}, \ \frac{a}{4})$となるので,[0,1]から[0,1]への写像にするため,0≦$\frac{a}{4}$≦1,すなわち0≦$a$≦4になります.上のλ=($a$=)3.57という値はある数列の極限値ですが,これより大きい値の生物の個体数の推移はカオスになるという境界(ファイゲンバウム点)になっています.

[Reference]

カオスとフラクタル
山口昌哉著 1986年 ブルーバックス

ロジスティック写像
https://sites.google.com/site/cinderellajapan/cinderellade-kaosu/rojisutikkushazou

Sunday, 5 August 2018

小説 クラインの壺

岡嶋二人著 2005年 講談社文庫

クラインの壺 メビウスの輪 トポロジー 位相幾何学

究極のバーチャルリアリティの世界で,現実と仮想の見分けがつかなくなり,不思議なことが次々と起こるというSF小説です.この世界がまるで内側と外側の区別がつかない図形であるクラインの壺のようなので,このタイトルがつけられています.位相幾何学(トポロジー)に登場する図形,メビウスの輪とクラインの壺について,かなり詳しい説明がありました.
真壁七美「メビウスの輪って知ってるでしょう?」
上杉彰彦「……途中がいっぺんねじってある輪っかのことだろ?」
真壁七美「うん。クラインの壺は、メビウスの輪を四次元にしたものなのよ」
(中略)
真壁七美「メビウスの輪には、表も裏もないわけ。表だと思っているところは裏でもあるわけだし、裏だと思ってるところは、実は表なのよね。クラインの壺は、それを立体にしたものなの。」
以上の部分を含めて5ページに渡り,メビウスの輪とクラインの壺について,少し重複はあるものの,かなり詳しく説明されていました.短くまとめると以下のような感じでしょうか.
メビウスの輪は,細長い紙をねじり合わせるとできる.その上を歩いている人は,表を歩いているつもりなのにいつの間にか裏を歩いている.クラインの壺は,細長い紙ではなくパイプ(細長い管)を想像する.その端と端をくっつけるとドーナツができるが,クラインの壺はそのパイプを一度四次元の方向にひっくり返してくっつけるから,内側で歩いている人がいつの間にか外側で歩いていることになる.
メビウスの輪とクラインの壺
上のような図はありませんでしたが,とても分かり易く解説してあったので感心しました.ここまで詳しく数学用語を解説している小説にはこれまで出会った記憶がありません.上のクラインの壺の図は管が交差しているように見えますが,「四次元の方向にひっくり返して」あるので,実際は交差していません(あまり難しく考えないでください).

位相幾何学(トポロジー)は,伸び縮みする図形を考える幾何学です.円と三角形や四角形のなどの多角形は同じとみなすとか,ドーナツとコーヒーカップは1つ穴の開いた立体として同じとみなすというような例がよく紹介されています.ところが,面白そうと思って位相幾何学の入門書を読み始めると,前置きが長いうえ,「何これ?」と思うぐらい難しくなるので読み進むのが大変です.

いつもは登場した数式や数学用語の解説をしていますが,ここでは逆に小説で解説された話を数学的に表現してみます.

[メビウスの輪]
単位閉区間$I=[0,1]$の直積である正方形$I×I=[0,1]×[0,1] $の1組の対辺を逆向きで同一視する同値関係~でできた商空間$I×I/\sim$.

[クラインの壷]
単位円(1次元単位球面)$S^1=\{(x, y) \ | \ x^2+y^2=1\}$と単位閉区間$I$の直積である円柱$S^1×I$の両端の円を同じ向きで同一視する同値関係~でできた商空間$S^1×I/\sim$.

メビウスの輪は,直感的には正方形の対辺を逆向きに張りあわせたものになります.同じ向きに張りあわせたものは,平面上なら2つの同心円によって囲まれた部分,すなわちアニュラス(円環)となり,空間内なら円柱側面になります.クラインの壷は、直感的には円柱の端の円を同じ向きに張りあわせたものになります.逆向きに張りあわせたものはトーラス(ドーナツ型)になります.

---------
[付録]
いくつかのトポロジー用語の解説を試みてみました.

同相
集合AとBを同じとみなす(=同相)とは,AとBの間で同相写像が存在する,すなわち「1対1かつ上への両連続な写像が存在する」ことをいうのですが,直感的には伸び縮みさせて同じ形になれば同相です.

単位球面
n次元単位球面$S^n$(n+1次元単位球の表面)とは,例えば,0次元単位球面$S^0$は$R$(1次元実数直線)上の2点{1,-1}(原点からの距離が1である2点),1次元単位球面$S^1$は$R^2$(2次元平面)上の$x^2+y^2=1$(原点からの距離が1の円周),2次元単位球面$S^2$は$R^3$(3次元空間)内の$x^2+y^2+z^2=1$(原点からの距離が1の球面)を意味します.

商空間
集合を同じ条件を満たすもので分類して得られる集合を商集合(距離とか位相とか定義されていれば商空間)といいます.例えば整数全体Zを2で割り切れるかどうかで分類すると奇数と偶数に分類されます.この商集合(商空間)はZ/2Zと表されます.これを仮に$\{ \overline{ 0 }, \overline{ 1 } \}$と表せば,偶数を$\overline{ 0 }$,奇数を$\overline{ 1 }$と同一視したことになります.このことを点の集合である図形でも同様に考えることができます.

商空間と単位球面
単位正方形$I×I= [0,1] × [0,1]$の境界上の点を全て同じとみなす同値関係~でできた商空間$I×I/\sim$は,正方形の境界が浮き上がり,開いていた口が閉じるような感じになるので,2次元単位球面$S^2$(3次元空間内の球面)と同相になります.

商空間$R/Z$と単位球面
実数/整数という商空間$R/Z$は,2つの実数の差が整数になるとき,2数を同一視します.すなわち,1.2も2.2も-0.8も-1.8もすべて[0.2+z](z∈Z)の元として同じとみなします.$R/Z$の元は$[x]=\{ x+z \ | \ 0≦x<1, \ z∈Z \}$と表せるので, $[x]$は区間 [0,1)上の1点と同一視できます.0と1は差が整数だからこれらも同一視できるので,R/Zは1次元単位球面$S^1$(2次元平面上の円周)と同相になります.

[参考]
トポロジー
田村一郎著 岩波全書

Tuesday, 8 May 2018

映画 ラプラスの魔女

東野圭吾原作 2018年5月公開 東宝

ラプラス方程式 ステファン・ボルツマンの法則

硫化水素中毒による死亡事件が続けて発生.気体の動きを正確に予測できない限り殺人は不可能.調査をした地球化学者の青江修介が事件の解明に行き詰まっていたとき,謎の女羽原円華が現われ、その後に起きる自然現象を正確に言い当てる.「ラプラスの悪魔」(小説「ラプラスの魔女に既出)のような知性を持つ女なので,このタイトルがつけられたものと思われます.
青江修介「君は?」
羽原円華「魔女……,ラプラスの魔女」
青江修介「ラプラス? 数学者の? ラプラス方程式を発見したあのラプラス?」
「ラプラスの悪魔」は量子力学によって,その存在の可能性は否定されています.

Laplace equation

ラプラス方程式は,多変数関数$f(x_1,x_2,\cdot\cdot\cdot,x_n)$の満たす次の2階線型偏微分方程式(小説「ラプラスの魔女に既出)になります.$$\Delta f =0$$この$\Delta$は微分演算子のひとつで"Laplacian"といい,$\Delta=\frac{∂^2}{∂{x_1}^2}+\frac{∂^2}{∂{x_2}^2}+\cdot\cdot\cdot+\frac{∂^2}{∂{x_n}^2}$を意味します.話を簡単にするため,2変数の関数$f(x,y)$でラプラス方程式を表すと,次式になります.$$\frac{∂^2f}{∂x^2}+\frac{∂^2f}{∂y^2}=0$$このラプラス方程式を満たす関数を調和関数といいます.例えば$f(x,y)=\frac{x}{x^2+y^2}$は上式を満たすので調和関数になります.確かめてみましょう.
\begin{align}
\frac{∂^2z}{∂x^2}+\frac{∂^2z}{∂y^2}&=\frac{∂}{∂x}\frac{-x^2+y^2}{(x^2+y^2)^2}+\frac{∂}{∂y}\frac{-2xy}{(x^2+y^2)^2}\\
&=\frac{-2x(x^2+y^2)^2-(-x^2+y^2)\cdot2(x^2+y^2)\cdot2x}{(x^2+y^2)^4}\\
&+\frac{-2x(x^2+y^2)^2+2xy\cdot2(x^2+y^2)\cdot2y}{(x^2+y^2)^4}\\
&=0\\
\end{align}Stefan-Boltzmann law

青江修介が大学で講義しているシーンの板書に,物体が放射するエネルギーEはその表面温度T(熱力学温度:単位はK)の4乗に比例する,すなわち$E=\sigma T^4$が成り立つという「ステファン・ボルツマンの法則」を使って地球の表面温度を求める数式が書かれていました.

(例1) 温室効果なし ε=1(の場合)
\begin{align}
T^4&=\frac{1.37 (kW/m^2) \cdot 0.7}{4\times 1\times 5.67\times10^{-8} (W/m^2/K^4)}\\
&=4.23\times 10^9 (K^4)\\
\\T&=255(K)=-18(°C)\\
\end{align}
$T^4$の分子の$1.37(kW/m^2)=1.37\times 10^3(W/m^2)$は太陽定数(単位WはJ/sとも表します),0.7は1-0.3=1-反射率=吸収率,分母の4は地球の表面積$4\pi r^2$と太陽から光を受ける面積$\pi r^2$との比,1は放射率(または射出率)ε=1,$5.67\times10^{-8}$がステファン=ボルツマン定数$\sigma$です.$T^4=4.23\times 10^9$になるので,$T=\sqrt[4]{4.23\times 10^9}≒255(K)$となり,摂氏では-18(°C)になります.

(例2) 温室効果あり ε=0.6(の場合)$$T=289.7(°C)=16.7(°C)$$となっていましたが,正しくは289.7(K)ですね.(例1)の式でε=1をε=0.6に置き換えればこの値を得ます.

[Reference]
偏微分 調和関数
http://tau .doshisha.ac.jp/lectures/2009.calculus-II/html.dir/node41.html
地表が吸収する太陽エネルギー
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/taikitotaiyoenergy.htm

Friday, 30 March 2018

テレビ番組 ちちんぷいぷい 桜開花予想 

2018/03/28放送 MBS

指数関数・対数関数

テレビ番組「ちちんぷいぷい」で桜の開花日を予想する数式が登場しました.

数式を考察する前に,次の基本事項を押さえておきましょう.
①桜は夏に花芽(かが)ができ,休眠を始める.
②秋冬の気温の影響を受けながら休眠した後,冬のある日に休眠から覚める(「休眠打破」という).
③花芽は休眠打破の後,寒ければ小さく,暖かければ大きく生育し、ある生育量に達すると開花する.

番組では「AI技術 VS 気象予報士」という設定で,どちらがより正確に開花日を予想するかを勝負するというものでしたが,よく調べてみたら,どちらも大阪府立大学の教授らによって考えられた数式が元になっていて,それに他の要素を加味して補正することで予想に違いが出ることが分かりました.

番組で登場した数式  (1)
番組で登場した式(1)は気象庁でも使われていた式で,式(2)は大阪府立大学の教授らの論文(2017年)の中の式です.y=exp(x)は$y=e^x$と同じ意味で,ネイピア数eを底とする指数関数です.数字/文字の違いはありますが,(1)と(2)は基本的には同じ式です.

式中に登場する温度(単位:K)は絶対温度=摂氏温度+273.2という値になります.従って,絶対温度の288.2Kは摂氏でいうと15°Cになります.以下はその教授らの論文からの抜粋です.
温度変換日数(DTS = the number of days transformed to standard temperature)とは,ある一定の温度条件で1日間置かれたときの植物の生育過程が,あらかじめ決められた標準温度$T_s$(K)の下での条件に変換すると何日分の生育過程に相当するかを表す指数である。日平均気温が$T_{ij}$(K)であるi 年のDOY=day of year(または通日)j における温度変換日数$(t_s)_{ij}$(日)は,以下の式のように表すことができる。$$(t_s)_{ij}=\exp \left\{ \frac{E_a(T_{ij}-T_s)}{R\ T_{ij}\ T_s} \right\} \tag{2}$$ここで$E_a$は生育の温度に対する応答の特性を代表する温度特性値(J mol-1),$R$ は普遍気体定数(8.314 J mol-1 K-1)である。本研究では,青野・守屋(2003)にならい,標準温度$T_s$を15℃(288.2 K),$E_a$を70 kJ mol-1 として,ソメイヨシノの開花日の推定モデルに一貫して使用した。 
開花日の推定の際には,地点ごとに定められた適切な起算日$D_2$から式(2)の$(ts)_{ij}$を積算し始め,その値があらかじめ定められた特定の値23.8($DTS_2$)に達した日を推定開花日とする。起算日$D_2$は3つの地理的・環境的変数を使って,比較的簡単に地点ごとに計算できる。起算日$D_2$は次の式(3)で推定される。
$D_2=136.765-7.689Ψ+0.133Ψ^2\\ \hspace{ 40pt } -1.307\ln L+0.144T_F+0.285{T_F}^2 \tag{3}$
ここでΨは緯度(°N),Lは海岸からの距離(km),TFは1, 2, 3 月の平均気温の平年値(℃)である。なお,海岸沿いの地点の場合,Lには1kmを適用する。
なぜ海岸沿いなのに1kmを適用するのかというと,式(3)のlnLは自然対数logeLを表しますから,Lが1未満だとlnLの値は急激に$-∞$に向かい,現実的でないからだと思われます.さて,式(1)を簡単にすると,$$\exp \left \{ \frac{9500(t-288.2)}{288.2t} \right \}$$
式(2)に定数を代入し,$T_{ij}$をtで表すと, $$\exp \left \{ \frac{8420(t-288.2)}{288.2t} \right \}$$となります.分子の係数が,式(1)は9.5×103=9500,式(2)は70000/8.314≒8420なので少し異なりますね.

この式で休眠打破(起算日)後の1日当たりの生育量を求め,積算して23.8になった日が開花日になります.極端な例でいうと,起算後の毎日の平均気温がずっと15℃だったら23.8日後に開花するということになります.この23.8という値は大量の過去のデータをもとに算出されたものだそうです.

この番組の最後に,勝負に負けた方からの面白いコメントがありました.「桜の気持ちもありますからね」

[Reference]
自発休眠期の気温を考慮したソメイヨシノの開花日の簡便な推定法
青野靖之・村上なつき(2017年)
さくら開花予想方法について
気象庁
桜の開花予想、国が認めた“魔法の公式”
https://withnews.jp/article/f0180319001qq000000000000000W08e10701qq000016960A

Saturday, 10 March 2018

小説 人魚姫の椅子

森 晶麿 著 2016年 早川書房

小説を書くのが好きな高校生海野杏(あん)と,そのクラスメイトで椅子職人を目指す五十鈴彗斗(すいと)は毎日少しだけ話をする仲.ある日,2人の同級生で杏の親友である若槻翠(みどり)の失踪事件が起こり,驚くべき真相が明かされていくという話です.

小数点以下切り上げ
彼自身は(練習を)三回に一回はサボっている。が、それを指摘すると「俺は毎回来とる」と主張する。小数点以下はすべて繰り上げてしまうタイプなのだ。
天井関数 (www.mathwords.com)
「繰り上げ」というのは一度決まった順位を後になって上げることをいうので,ここでの正しい表現は「小数点以下はすべて切り上げてしまう」ですね.「3回に2回は出席している」ということなので,2/3=0.6666...となり,小数第3位を切り上げれば0.67=67%になりますが,小数点以下を切り上げると1,すなわち出席率100%となって「俺は毎回来とる」という理屈になるのでしょう.

ところで,小数点以下を切り上げる関数を天井関数(ceiling function)といい,$y=\lceil x\rceil$と表します.例えば$\lceil 1.3\rceil=2$,$\lceil \frac{2}{3}\rceil=1$,$\lceil -0.8\rceil=0$となるので,右図のような階段状のグラフになります.各線分の右端の点は含まれ,左端の点は含まれません.

床関数 (www.mathwords.com)
これに対し,小数点以下を切り捨てる関数は床関数(floor function)といい,$y=\lfloor x\rfloor$と表しますが,日本の高校数学の教科書ではガウスの記号といって$y=[x]$と表し,「xを超えない最大の整数」という説明になっています.例えば$\lfloor 1.3\rfloor=1$,$\lfloor \frac{2}{3}\rfloor=0$,$\lfloor -0.8\rfloor=-1$となるので,これも右図のような階段状のグラフになりますが,各線分の左端の点は含まれ,右端の点は含まれません.

このように端数の処理をすることを「丸める(round)」ともいいます.小数点以下を四捨五入(round half up)する関数を丸め関数と呼ぶ場合もありますが,一般に「丸める」というと天井関数や床関数も含み,さらに異なる位の四捨五入もあるうえ,他にも「五捨五超入」や「偶数丸め」などいくつかの方法が含まれます.

ベクトル
波の音が変わったのだ。波の音は変わりやすい。水と水のベクトルの違いが生む無益な争いの結果、潮の流れが微かに変わるタイミングなのか、それとも遠くで巨大なシャチが跳ねたせいなのか。
ベクトルといえば向きと大きさのある量なので,一般の文章でベクトルを「方向」や「進路」という意味だけに使われているときは少し違和感を感じます.しかし,ここでは水の流れを方向も強さもあるものとして扱っているので,上の表現は適切だと思います.

数学の時間
――杏ちゃん、明日は数学のある日やね。寝たらあかんよ。
笑った顔でそう言ったはずが、翠の母親は泣きだしていた。
きっと、(失踪した)翠が家で、わたしが数学の時間になると居眠りすることを面白おかしく話していたのだろう。
はい、と答えるのが精一杯だった。
「数学の授業は眠い」というのは定番なんでしょうか.このような話はよく聞きますね(笑).

[Reference]
Ceiling Function
http://www.mathwords.com/c/ceiling_function.htm
Rounding
https://en.wikipedia.org/wiki/Rounding

Saturday, 10 February 2018

歌詞 算数チャチャチャ

2016年 みんなのうた

平方根 sine cosine tangent

 

1973年にペギー葉山さんの歌で「みんなのうた」に初登場,その後何回か再放送され,2016年の放送では,ネットで「算数というには難しすぎる」と話題になった曲です.登場した問題を見てみましょう.

[1番]$$\frac{2+\sqrt{2}}{\sqrt{2}+1}$$いきなり算数というより数学ですね.これを解きましょうということなので,この式を計算して簡単な値にせよということでしょう.よく見ると分子が$\sqrt{2}$を共通因数として因数分解できるので,分母の有理化をしなくてもいいですから,日本の中3のレベルになります.答を「たったわずかの$\sqrt{2}$」と表現してるところが気になりますね.「たったわずか」かどうかは誰が決めるのでしょう.

[2番]$$\sin\theta=\cos\theta\times\sqrt{3}$$これを解きましょうということは,この方程式を満たす$\theta$の値を求めることなので,日本の高校数学Ⅰのレベルでは,$0\leqq\theta\lt180^{ \circ }$のとき,$\tan\theta=\sqrt{3}$より$\theta=60^{ \circ }$と答えます.ところが動画では,直角三角形の斜辺の長さを求めて,$\sin\theta$と$\cos\theta$の値を答としているのが気になります.しかも,$\sin\theta$は分数で求めているのに,$\cos\theta$は分数で表示しながら歌詞では小数で答えているところがまた気になりますね.

[3番]$$\eta=\cos{\left(\theta+\frac{\pi}{2}\right)}$$これをかけということなのでグラフでしょう.これは日本の高校数学Ⅱの範囲です.まず気になったのが,"$y=$"ではなく"$\eta=$"となっていることです.日本の高校数学の教科書では独立変数にギリシャ文字$\theta$を使っていても従属変数はyを使っています.この動画の数式の作者はギリシャ文字で合わせるために,第2の未知数としてよく使われる$\eta$(イータ)を使ったのでしょう.実際,y=f(x)をη=f(ξ),f(x,y)をf(ξ,η),(x,y,t)を(ξ,η,τ)と表す数学書があります(ξはクシー,τはタウと読みます).

またもう一つ気になったのが,歌詞の意味です.
♪ θプラスの2分のπ そのコサインをかけ ♪
「コサインをかけ」なんて言い方はあまりしませんが,その後の展開から考えると,この方程式が表すグラフを書けということみたいです.
♪ コサインθのグラフが 1,0,マイナ(ス)1 ♪
♪ θプラスの2分のπ 2分のπずれる ♪
♪ 0マイナス1 0プラス1で θ平行さ ♪ 
この1行目と3行目が分かりにくいですが,これは次の意味じゃないかと思います.

$\eta=\cos\theta$のグラフは点(0,1), (π/2, 0), (π, -1)を通る.それが負の方向に2分のπずれる.するとずれたあとの$\eta=\cos{\left(\theta+\frac{\pi}{2}\right)}$のグラフは点(0, 0), (π/2, -1), (π, 0), (3π/2, 1)を通る.θ軸方向への平行移動さ.

確かに算数(小学校まで)というよりは数学(中学以上)ですね.あと細かいことをひとつ.間奏は「パッパッパーヤ パッパッパパーヤ」を繰り返すのですが,字幕は「パッパッパーヤ パッパパッパパーヤ」になっていました.これも大変気になりました(笑).

Tuesday, 30 January 2018

漫画 理系が恋に落ちたので証明してみた。

山本アリフレッド ほるぷ出版 (2016年)

帰無仮説 同じ誕生日の確率 素数の無限性 最適化問題 ハノイの塔 リーマン予想 フィボナッチ数 フェルマーの最終定理 

理系大学院生の雪村心夜と氷室菖蒲が,お互いを好きなのかどうかをいろいろな実験を通して考察していくという話で,数学や理科の用語がたくさん出てきます.

[証明2] 理系が恋に落ちたので心拍数を測ってみた。

本編の後に「リケクマのなげやり理ア充用語解説コーナー」といいうのがあり,帰無仮説について分かり易く解説しています.
「カラスは黒い」を否定するような,ありえねー仮説を立ててみるクマ.「カラスは黒かレインボーの半々」とかクマ.これが帰無仮説クマ.  
この時,100匹連続でカラスが黒い確率は,隕石が頭の上を1兆回落ちてくるより小さいクマ.だからこの帰無仮説はありえねークマ.  
なら「カラスは黒が90%,他は蛍光ピンク」という帰無仮説はどうクマ? これでも,100匹連続でカラスが黒い確率は0.00265%くらいクマ.やっぱありえねークマ.  
「カラスは97.1%が黒」あたりから,確率が5%以上になり,やっとギリありえる感じになるクマ.よって「全てのカラスは黒い」とは言えなくても「97.1%以上のカラスは黒い」ということは示せるクマ.
以上の値を検証してみましょう.

「隕石が頭の上に落ちてくる確率」をネットで調べたら,160万分の1とか100憶分の1とか極端に異なる値が見つかりました.高い方の160万分の1としてもこれが同じ頭の上に1兆回落ちてくる確率は,160万分の1の1兆乗なので,限りなく0に近くなります.

100匹連続で黒いカラスになる確率は,
・黒とレインボーが半々のとき $0.5^{100}=7.8886 \times 10^{-31}$(極端に小さいですが,隕石が頭の上に1兆回落ちてくる確率より高いのではないでしょうか)
・黒が90%のとき $0.9^{100}=2.6561 \times 10^{-5}$(0.00265%くらい.上記の通り)
・黒が97.1%のとき $0.971^{100}=5.27134 \times 10^{-2}$(確率が5%以上.上記の通り)

「やっとギリありえる感じ」を「確率が5%以上」としていますが,これを有意水準といい,1%とする場合もあります.

[証明3] 理系が恋に落ちたのを思い出してみた。
奏(かなで)「ハノイの塔の問題.漸化式で解いてみたんですけど,みてくれませんか.」
先生「そうです.$2^n-1$.よく解けましたね,奏君.ここからが面白いんですよ.伝説の通り,n=64だとすると,$2^{64}-1$です.これを年数にすると500億年近く.終わるころには世界が滅亡して…」
ハノイの塔は,3本の棒のうちの1本に穴の開いたn個の円板が上から小さい順に通しておいてあり,全部をあるルールのもとで他の棒に移すというゲームで,円板64枚のときにすべてを移し替えると世界は終わるというインドの伝説があります.このブログでは,ドラマ「スペシャリスト3」映画「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」に登場しました.

円板がn枚の時,移すのに必要な手数を$a_n$とすると,漸化式は$a_{n+1}=2a_n+1$となり,これを解いて$a_n=2^n-1$になります.

伝説の式を実際に計算してみると,1年は60×60×24×365秒ですから,$$\frac{2^{64}-1}{60\times60\times24\times365}\approx5.85×10^{11}=5850億$$なので,この先生の台詞「年数にすると500億年近く」は間違っているようです.

[番外編] 理系は誕生日に運命を感じない。

ある人数の中に同じ誕生日の人がいる確率は,小説「数学的にありえない」ドラマ「数学女子学園第7話」に登場しました.n人の中で少なくとも2人以上が同じ誕生日になる確率は、全員が異なる誕生日になる確率を1から引きます.全員が異なる誕生日になる確率は$$\frac{364}{365}\cdot\frac{363}{365}\cdot\frac{362}{365}\cdots\frac{365-(n-1)}{365}=\frac{{}_{364}\mathrm{P}_{n-1}}{365^{n-1}}=\frac{{}_{365}\mathrm{P}_{n}}{365^{n}}$$なので,$$1-\frac{{}_{365}\mathrm{P}_{n}}{365^{n}}$$という式で求められます.

これはグラフ電卓または関数電卓で上の式にn=30を代入しても計算できますが,なんでも計算してくれるサイト WolframAlpha で birthday paradox 30 と入力すれば,at least 2 the same 0.7063 と答えてくれます(WolframAlphaはすごい!).というわけで,30人の中に同じ誕生日の者が少なくとも2人以上いる確率70.6%が確認できました.この問題は,人数が少なくても驚くほど高い確率になるので,birthday paradoxと呼ばれています.
雪村心夜「30人の中に同じ誕生日の2人がいる確率は70.6%だ.」
とありましたが,正確には「少なくとも2人以上」ですね.

[証明19] 理系が恋に落ちたので好きの証拠を集めてみた。
雪村心夜「安心しろ.素数を数えているうちに終わる」
氷室菖蒲「だめよ.素数は無限に存在しているもの」
素数が無限に存在することの証明は背理法で簡単に証明できます.高校数学の教科書に掲載されている$\sqrt{2}$が無理数であることの証明よりもずっと簡単です.

有限であると仮定してすべての素数を$p_1, \ p_2, \ \cdot \cdot \cdot  \ , \ p_n$とします.つまり$p_n$が最大の素数です.それらすべての積に1を加えた数は割り切れないので,さらに大きな素数になってしまい,$p_n$が最大の素数であることに矛盾します.よって,素数は無限に存在することがいえます.

因みに The Largest Known Primes によると,2018年1月までに発見されている最も大きな素数は$2^{77232917}-1$で,$\log_{10}2^{77232917}=23249425$桁まで来ています.

Thursday, 4 January 2018

アニメ クロスロード

2014年 Z会 短編アニメCM

最大最小 余弦定理 微分

地方の離島に住んでいて東京の大学への進学を目指す女子高生と,東京で大学受験勉強中の男子高生が同じ通信教育を受けていて,それが縁と言えるかどうか分かりませんが最後には出会うというストーリーのCMで,あの大ヒット映画「君の名は。」の原点にもなった作品です。

全く見知らぬどうしですが,添削担当者が2人の共通点を見つけています.
添削担当者A「あれ?」
添削担当者B「どうしました?」
添削担当者A「いやあ,単純なミスも証明の組み立ても,この子たちよく似ててねえ.」
その解答と添削の一部が見えたので,そこから問題を推測してみました.


[推測される問題]

2点A(2,0)とB(6,0)を通る円がy軸の正の部分と共有点Rを持つとき,∠ARBの最大値を求めよ.

[解答例]

共有点がR1,R2の2つあっても,同じ弧の円周角なので,∠AR1B=∠AR2B=∠ARBとして考えます.
R(0,y)とすると,$AR=\sqrt{y^2+4}$,$\ BR=\sqrt{y^2+36}$,$AB=4$だから余弦定理より
\begin{align}
\cos{\angle ARB}&=\frac{(y^2+4)+(y^2+36)-4^2}{2\sqrt{y^2+4}\sqrt{y^2+36}}\\
&=\frac{2y^2+24}{2\sqrt{(y^2+4)(y^2+36)}}\\
&=\frac{y^2+12}{\sqrt{(y^2+4)(y^2+36)}}
\end{align}この式をf(y)としてyで微分して解く方法が解答の一部に見られました.一応計算してみましたが,これは計算がかなり大変です.$$f'(y)=\frac{16y(y+2\sqrt{3})(y-2\sqrt{3})}{\sqrt{y^2+4}\sqrt{y^2+36}(y^2+4)(y^2+36)}$$ここまで正しく計算できれば,0と$\pm2\sqrt{3}$で極値を持つことが分かります.

添削では$y^2+12=t$とおいて解いています.
\begin{align}
\cos{\angle ARB}&=\frac{t}{\sqrt{(t-8)(t+24)}}\\
&=\frac{t}{\sqrt{t^2+16t-192}}\\
&=\frac{1}{\sqrt{1+\frac{16}{t}-\frac{192}{t^2}}}
\end{align}さらに$\frac{1}{t}=s$とおくと,√の中は,$$-192s^2+16s+1=-192\left(s-\frac{1}{24}\right)^2+\frac{4}{3}$$従って,√の中は$s=\frac{1}{24}$のとき最大値$\frac{4}{3}$
すなわちt=24のとき,すなわち$y^2+12=24$のとき,すなわち$y=2\sqrt{3}$のとき,$\cos{\angle ARB}$の最小値は$\frac{\sqrt{3}}{2}$なので,∠ARBの最大値は30°になります.結局,共有点が1つのとき(接するとき)に角度が最大になることが分かりました.

(2018/1/7追記)
映った解答のシーンだけを見て問題を推測しましたが,上の2つ目の解答の直前にこんなシーンがあったことに気づきました.小問(1)(2)があったようです.

click to enlarge

[推測される問題]

2点A(2,0)とB(6,0)がある.
(1) この2点を通る円がy軸の正の部分と共有点を持つための条件を求めよ.
(2) 点Rがy軸上の正の部分にあるとき,∠ARBの最大値を求めよ.

[略解]

小問(1)

円の中心を(4,b)とすると,半径は$\sqrt{b^2+4}$なので,円の方程式は$$(x-4)^2+(y-b)^2=b^2+4 \tag{3}$$x=0を代入して,$$y^2-2by+12=0 \tag{4}$$D≧0より$$b^2-12 \geqq 0$$b>0より$$b\geqq2\sqrt{3}$$
小問(2)

[別解1]  (1)の結果を使う解答
(1)より,円がy軸と接するときの接点$(0, 2\sqrt{3})$をRとすると∠ARB=30°.円がy軸と2点で交わるときの交点の1つをR'とすると,Rは円の内側にあるので,∠AR'B<∠ARB
よって,∠ARB=30°が最大.

[別解2]  (1)の結果を使わずベクトルの内積を使う解答
R=(0,y)とすると,$\overrightarrow{RA}=(2,-y)$,$\overrightarrow{RB}=(6,-y)$なので,$$\cos{\angle ARB}=\frac{y^2+12}{\sqrt{y^2+4}\sqrt{y^2+36}}$$この続きは上と同様.

[別解3]  (1)の結果を使わず正接の加法定理を使う解答
∠BRO=$\alpha$,∠ARO=$\beta$とすると,$\tan\alpha=\frac{6}{y}$,$\tan\beta=\frac{2}{y}$なので,$$\begin{align}
\tan{\angle ARB}&=\frac{\tan\alpha-\tan\beta}{1+\tan\alpha\tan\beta}\\
&=\frac{\frac{6}{y}-\frac{2}{y}}{1+\frac{6}{y}\cdot\frac{2}{y}}\\
&=\frac{4y}{y^2+12}\\
\end{align}$$これをyで微分すると,y=$2\sqrt{3}$で極値になることが分かります.こちらの方が微分の計算は簡単なんですが,次のようにするともっと楽に解けます.$$\frac{4y}{y^2+12}=\frac{4}{y+\frac{12}{y}}$$とすれば,分母は相加相乗平均の関係より,$$y+\frac{12}{y}\geqq2\sqrt{12}=4\sqrt{3}$$なので,$$\tan{\angle ARB}=\frac{4y}{y^2+12}\leqq\frac{4}{4\sqrt{3}}=\frac{1}{\sqrt{3}}$$よって,∠ARBの最大値は30°になります.