Saturday 20 March 2010

映画 スパイアニマル・Gフォース

有限体 一変数多項式 因数分解
 モグラのスペクルズが、暗号解読に取り組んでいる場面で、次のように言っていました。
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"I have to factor univariate polynomial over a finite field.(有限体上の一変数多項式を因数分解しなければならないんだ。)"
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 有限体上の一変数多項式因数分解は、暗号理論に使われています。体とは、有理数・実数・複素数などのように、加法・乗法の演算が定義されていて、0以外の元が常に乗法逆元をもつ集合をいいます。その中で、有限個の元をもつものが有限体(ガロア体ともいう)で、簡単な例として剰余類というものがあります。例えばFpとは、素数pで割った余りが等しいものを同じ数とみなしてできる有限体で、p=3のときは{0,1,2}の3個の元から成ります。この場合、普通の計算で4になったら、それは3で割った余りが1なので、1と表します。この関係を4≡1(mod 3)と表します。
[例]
 p(x)=x^3+x+1を、有限体F3上の(有限体F3の元を係数にもつ)一変数多項式として因数分解してみましょう。
 p(1)=3≡0(mod 3)よりp(x)は因数x-1を持ちます(因数定理)。そこでp(x)=x^3+x+1をx-1で普通に割り算すると、商がx^2+x+2で余りが3になりますが、3≡0(mod 3)だから割り切れました。したがって、
   p(x)=(x-1)(x^2+x+2)
となりますが、係数をF3={0,1,2}だけで表せば、-1≡2(mod 3)なので、
   p(x)=(x+2)(x^2+x+2)
と因数分解されました。

Monday 15 March 2010

映画 おもひでぽろぽろ

分数の割算
姉「九九を始めから言ってみなさい。」
たえこ「九九なんて言えるわよ。もう5年生だよ。」
姉「九九ができるならどうして間違ったのよ!」
たえこ「だって分数の割算だよ。」
姉「分母と分子をひっくり返して、掛けりゃいいだけじゃないの。学校でそう教わったでしょ?」
たえこ「うん…。」
姉「じゃあどうして間違ったの!」
たえこ「分数を分数で割るって、どういうこと?」
姉「ええ?」
たえこ「2/3個のりんごを、1/4で割るっていうのは、2/3個のりんごを、4人で分けるとひとり何個かってことでしょう?」
姉「うん…。」
たえこ「だから、1、2、3、4、5、6で、ひとり1/6個。」
姉「違う、違う、違う、違う。それは掛け算。」
たえこ「ええ!どうして?掛けるのに数が減るのー?」
姉「2/3個のりんごを、1/4で割るっていうのは…、とにかく、りんごにこだわるからわかんないのよ。掛け算はそのまま、割算はひっくり返すって覚えればいいの。」
 割り算には「等分除」と「包含除」2つの意味があります。「等分除」は、例えば6個の物を2人で分けるとか3人で分けるなど、文字通り「等分すること」です。ただしこれは割る数が正の整数に限られます。一方「包含除」は、例えば6の中に1/2はどれだけ含まれているかというように、割る数がどれだけ割られる数に含まれているかという意味で、この場合は割る数が自然数とは限りません。
 分数で割るというのは後者の場合に当てはまります。2のなかに1/3はいくつあるか。1の中に1/3は3つありますから、2のなかには2×3=6個ありますね。つまり2÷1/3=2×3=6となります。したがって、2÷1/3=2×3ということになります。
 他にもこんな説明の仕方があります。
1/2÷3/4 この分母と分子に4/3を掛けると、
=(1/2×4/3)÷(3/4×4/3)
=(1/2×4/3)÷1
=1/2×4/3

(参考)「数学入門(上)」遠山啓 著 岩波新書