階差数列
生放送のクイズ番組の決勝戦に出たクイズプレーヤーの三島玲央が,まだ一言も問題が読まれていないのに正解を答えて優勝した対戦相手に対して不正を疑い,真相を解明しようとする話です.
僕は早押しクイズは数列と似ていると思っている。
1、2、4……と聞こえた時点で、僕は数列のルールがわかったと思ってボタンを押す。「この数列において10番目に来る数は何か」と問われているが、 ボタンを押した時点で答えがわかっているわけではない。1、2、4の次は8だろう。 この数列は、前の数を2倍にしていくものなのだ (an=2n−1)と考えて、10番目に何が来るのかを急いで計算する。
実際に、それが正解ということもあるが、間違っている可能性もある。 この数列はまだ確定していないからだ。
1、2、4の次に7が来る場合も考えられる。1から2は1増えている。2から4 は2増えている。4の次は3増えて、7になるかもしれない(an=n22−n2+1)。この数列は階差数列かもしれない。
1,2,4,8,...... なら,ここまでは初項1,公比2の等比数列になると推測できます.そうすると一般項(第n項)は 2n−1 ですから,第10項は 210−1=29=512 と計算できます.
1,2,4,7,...... なら一般項がn22−n2+1になることはすぐには分かりませんね.この数列を {an} とし,階差数列を{dn}とすると,dn=1,2,3,...... すなわち dk=k なので,{an} の一般項は次のようになります.an=a1+n−1∑k=1dk=1+n−1∑k=1k=1+12n(n−1)=12(n2−n+2)ですから,その第10項は 12(102−10+2)=46 になります.
この数列は「怠け仕出し屋の数列 (lazy caterer's sequence)」と呼ばれていて,n=1,2,3,4,...... のときに 1,2,4,7,...... なら,円を(n−1)本の直線で切り分けたときにできる領域の最大数を表しています.(Wikipedia等のよくある説明では,円をn本の直線で切り分けるとしているので,n=0,1,2,3,...... のときに 1,2,4,7,...... となり,一般項が 12(n2+n+2)となっています) (オンライン整数列大辞典A000124)
因みに,1,2,4,8,...... だからといって一般項が 2n−1 にならない例は他にもあります.
まず1つ目はこの数列です.{bn}1,2,4,8,15,......第4項まで 2n−1 になっていますね.これの階差が an=1,2,4,7,...... すなわち「怠け仕出し屋の数列」=式(1) になっていますから,{bn} の一般項は次のようになります.bn=b1+n−1∑k=1ak=1+n−1∑k=112(k2−k+2)=16(n3−3n2+8n)この数列は「ケーキ数 (cake number)」と呼ばれていて,n=1,2,3,4,5,...... のときに 1,2,4,8,15,...... なら,円柱等の凸立体を(n−1)枚の平面で切り分けたときにできる領域の最大数を表しています.(Wikipedia等のよくある説明では,立体をn枚の平面で切り分けるとしているので,n=0,1,2,3,4,...... のときに 1,2,4,8,15,...... となり,一般項が 16(n3+5n+6)となっています) (オンライン整数列大辞典A000125)