ε-δ(イプシロン-デルタ)論法 フェルマーの最終定理 ギリシャ語数詞
有機化学における全合成を研究する大学院生が,いろいろとアドバイスをくれる「死神」や親友の助けを得て,学問と恋愛に奮闘する話です.
数学や物理は「言っている言葉が理解できない」状態だった。 ε-δ論法やインピーダンスといった、完璧にわけの分からない概念に悩まされるのは、もうこりごりだった。高校の数学では,「限りなく近づく」などの言い方で,関数の極限や連続性について学習しますが,解析学では極限や連続などをより厳密に論じるためにε-δ論法が登場します.
この式を意訳すると次のようになります.「どんなに小さい正の数 \varepsilonが与えられても、ある正の数\deltaをうまく決めて、 xとaとの距離を\deltaより小さくすれば, f(x)とbとの距離を\varepsilonより小さくできる」
簡単な例をひとつ見てみましょう.\displaystyle \lim_{x \to 3} x^2 = 9をε-δ論法で証明してみます.そのためには,
|x-3|<\delta ならば |x^2-9|<\varepsilon
となるような\deltaをうまく決めればいいわけです.|x^2-9|=|x+3|\cdot|x-3|=|x-3+6|\cdot|x-3|<(\delta+6)\deltaとなるので,(\delta+6)\delta=\varepsilonとなる\deltaを求めます.\delta^2+6\delta-\varepsilon=0この2次方程式を解くと,\delta>0より,\delta=-3+\sqrt{9+\varepsilon}よって,\deltaをこの値にすれば,
|x-3|<\delta のとき,|x^2-9|<(\delta+6)\delta=\varepsilon
となります.すなわち\forall \varepsilon >0, \exists \delta >0, |x-3|<\delta \Rightarrow |x^2-9|<\varepsilonを示すことができました.