素数 ナビエ–ストークス方程式 ラプラスの悪魔
桐宮玲「もし,この世に存在するすべての原子の現在位置と運動量を把握する知性が存在するならば,その存在は,物理学を用いることでこれらの原子の時間的変化を計算できるだろうから,未来の状態を完全に予知できる――」「ラプラスの悪魔」と呼ばれる知性を持つという主人公が女の子なので,このタイトルになったようです.数学では,ある物体の「現在位置と運動量を把握する」ということは「任意の点で導関数が満たす微分方程式を作る」ということを意味し,この微分方程式を解くことで,ある関数が求められ,それによってその物体の過去や未来の位置が計算できるようになります.
「ラプラスは,このような仮説を立てました.その存在のことは後年,ラプラスの悪魔と呼ばれるようになります.」
ナビエ–ストークス方程式は,流体(液体や気体など)の運動を表す非常に複雑な2階非線型偏微分方程式です. 「2階」は第2次導関数まで式の中にあるという意味で,「非線型」は「線型」でない,すなわち次の条件を満たさないという意味です.
加法性: 任意のx,yに対してf(x+y)=f(x)+f(y)
斉次性: 任意のx,αに対してf(αx)=αf(x)
「偏微分方程式」は2変数以上の関数において,ある1つの変数について微分して得られる導関数を含んだ方程式という意味です.例えば,y=f(x)のとき,dydxはyをxで微分したもの,z=f(x,y)のとき,∂z∂xはzを(x以外は定数と見做して)xだけで微分したものという意味です(∂は「ラウンド」とか「デー」などいくつか読み方があります).ナビエ–ストークス方程式は,難しすぎて未だに解決されず,クレイ研究所が「解けたら100万ドル」を贈るという懸賞付きの問題のひとつです.
ところで,dydxをもう一度微分すると,d2ydx2になります.なぜdy2dx2ではなく,分子はd2yで分母がdx2と書くのかというと,dydxはddxyとも書けるので,dydxをもう一度微分すると,ddx(dydx)となり,分子はdが2個でyが1個,分母はdxが2個になるからです.(注)(dx)2はdx2とも書きます.(AB)2をAB2と書くのと同様です.
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