Monday 13 October 2014

映画 真夏の方程式

放物線の水平移動距離
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「エル=ジー分のブイ2乗サイン…。さっぱりわからん。」
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 映画のエンドロールの中で、少年の夏休みの自由研究レポートのデータを見たときの父親の台詞です。小説では登場しなかった等式が映画では登場しました。その式は、放物線が多数描かれた紙の右上にメモのように書いてありました。
 L=(v^2sin2θ)/g
初速度v、水平面との角度θで飛ばされた物体のt秒後の垂直方向の位置(高さ)hは、重力加速度をgとすると、
 h=vsinθ・t-1/2gt^2
水平方向の位置(飛距離)Lは
 L=vcosθ・t
と表せます。飛行後の着地点は、再びh=0となるのでこれを解くと、
 t=(2vsinθ)/g
この時刻をLに代入すると、
 L=vcosθ・(2vsinθ)/g=(v^2・2sinθcosθ)/g=(v^2sin2θ)/g
これが登場した等式です。さて、物体を水平方向に200m以上飛ばそうとすると、これにL=200を代入した
 200=(v^2sin2θ)/g
を満たすvよりも大きな速度で飛ばさなければいけません。空気の抵抗を無視しているので、θ=45°で最も遠くへ飛ばせると考えれば、sin2θ=1なので、
 200=v^2/g
重力加速度g=9.8m/sec^2なので、
 200=v^2/9.8
を解くと、
 v^2=1960
 v=√1960≒44.2718…
となり、初速度45m/secは必要ということになります。
 ところで、小説にはこの等式は登場しなかったので、タイトルの「真夏の方程式」が意味する方程式はこの式ではないでしょう。少年が「これからいろいろなことを学習し、成長していくことで、今疑問に思っていることがいつかは解決する」ということを「方程式」という言葉で比喩しているものと思われます。

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