定積分
半数以上が東大に進学する偏差値の高いある高校で,半年の間に3人の教師がやめてしまったというクラスの担任になった数学教師が,赴任初日から精神的な攻撃や物理的な攻撃をする生徒たちに対して全く動じる気配を見せないため,生徒たちがこの教師を殺してしまおうとする話です.
第1話で,2019年東大入試理系数学第1問,数学Ⅲの定積分の計算問題がそのまま使われました.
生徒は30秒以内に解けと無理をいいますが,この教師はいとも簡単に解いて生徒たちを驚かせます.
実際に解いてみましたが,展開した4つの項のうち2つで異なる置換積分をしなければならないので,かなり面倒な計算になりました.詳しい解説は多数のサイトでアップされていますので,そちらを参照してください.
気になったところを3点.
①3項目の計算の[ ]の中,t1/2+t−1/2 の −1/2 が見えにくい.(拡大してみてください)
②4項目の dx=(1+tan2θ)dθ は,次の行で被積分関数が sin2θ になることを考えると dx=1cos2θdθ の方が自然ではないか.
③その次の行,積分区間の上端 π/4 が見えにくい.(拡大してみてください)
似たような問題で,もっと簡単そうに見えて実はそうではないという例を紹介しましょう.∫10√1+x2dxこれもかなり大変な計算になります.いろいろな方法があり,それらをを試してみましたが,最も簡単に計算する方法はx=et−e−t2と置換する方法です.これはx=sinht(双曲線関数)なんですが,これを知らなくても数学Ⅲの知識で計算できます.
実はこれ,放物線 y=12x2 のx=0から1までの長さを求める計算になります.「放物線の長さ」で検索すると解説が多数アップされていますので,この方法を探してみてください.因みに正解は次のようになります.(lnは自然対数)√22+12ln(1+√2)=1.14779......