2025年12月5日金曜日

小説 令和中野学校

松岡圭祐 2025年 KADOKAWA

ロジスティック回帰分析

大学受験に失敗した燈田華南(とうだかな)が,諜工員を養成する特別施設 「令和中野学校」 にスカウトされ、他国のスパイ活動を防ぐ特殊部隊の一員となり,高度なスキルを身につけていくという話です.
波戸内の目は神崎に移った。「きみは?  いまロジスティック回帰分析の授業中だろう。またサボってるのか。射撃の腕を磨いても、ほかの出席率が悪ければどうにもならんぞ」
回帰分析とは,1つ以上の要因によって起こる結果を数式(回帰式)から予測することで,線形回帰分析と非線形回帰分析とがあります.

線形回帰分析の最も簡単な例として,100m走の記録$x$(要因)から走り幅跳びの記録$y$(結果)の関係を一次関数で表して予測するという場合があります.これを単回帰分析といい,$$y=a_{0}+a_{1}x$$という回帰式から結果を予測します(回帰式はいくつかのデータがあればグラフ電卓やPC等で求められます).例えばあるデータから得られた回帰式が$$y=18-x$$だったとすると,100m走 $x=12$ (秒) の人は,走り幅跳びで

$y=18-12=6$ (m)

跳べると予測できます.ただし,実際は100mを2秒で走る人はいないし,18秒で走る人の走り幅跳びの記録が0mということはないので,適切な範囲でのみ予測が可能になります.

100m走と走り幅跳び

また,身長$x_1$と肥満度$x_2$から体重$y$を予測するというように,要因が複数になる場合は重回帰分析といい,回帰式は次式になります.$$y=a_{0}+a_{1}x_{1}+a_{2}x_{2}+\dots +a_{n}x_{n}$$

ロジスティック回帰分析は非線形回帰分析のひとつで,結果を確率で求めます.例えば1日の睡眠時間 $x_1$から(またはさらに部活動参加の有無 $x_2$から)「合格か不合格か」 のどちらかを判断するというように,1つ(または複数)の要因からある結果が起こる確率を求め,その結果が起こるか否かを推測する方法で,結果を0から1の間の値にするためにロジスティック関数を使います.$$y=\frac{1}{1+e^{-(a_{0}+a_{1}x_{1}+a_{2}x_{2}+\dots +a_{n}x_{n})}}$$例えばあるデータから得られた回帰式が$$y=\frac{1}{1+e^{-(-3.5+0.8x)}}$$だったとすると,睡眠 $x=6$ (時間)の人は,$$y=\frac{1}{1+e^{-(-3.5+0.8\times 6)}}=0.6$$ の確率で合格できると予測できます.ただし,実際は睡眠時間が長ければ長いほど合格率が高くなるわけでもないので,適切な範囲でのみ予測が可能になります.

睡眠時間と合格率

昔,「四当五落」(睡眠4時間以内なら合格するが,5時間以上なら合格しない)という言葉がありましたが,学習効率を考えると逆のようですね.

以上,分かり易くするために最も簡単な例をあげました.実際は多数の要因が影響するので,回帰式はもっと複雑になりますが,グラフ電卓やPC等を使うことによって,容易に結果を得ることができます.

[参考]

ロジスティック回帰分析とは?用途、計算方法をわかりやすく解説!

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