2025年12月11日木曜日

小説 1パーセントの教室

松村涼哉 2017年 KADOKAWA

需要供給曲線

これから不幸になる人間を好きになってしまうという高校生の日比野明日香に好きだと告白された同級生の雨ケ崎誠也が,不幸にならないために七転八倒するという話です.

  「伝えたいと思ったんです。雨ヶ崎先輩は、ずっと夢のために邁進してきたんですよね。英語、フランス語、中国語を身に付けて、経済学まで究めて。正直に言います。東京に進んでください。姉は、大学時代に遠距離になっても、それで雨ヶ崎先輩と別れるなんてありえませんから。 それくらい雨ヶ崎先輩が大好きですから」 
 フランス語? 中国語? 経済学? オレが知っているのは、ボンジュール、ニーハオ、需要供給曲線だけだ。

需要曲線と供給曲線は,ミクロ経済学の用語です.商品の価格が安くなると需要が伸びるので,横軸に数量,縦軸に価格をとると,需要曲線のグラフは右下がりになり,供給曲線はその逆になります.供給曲線と需要曲線が交差する点を均衡点と呼び,このときの価格を均衡価格といいます.

入門レベルでは,分かりやすく線形のグラフ (一次関数) で描かれることが多いですが (下左図),現実に即して表す場合は非線形のグラフ (曲線) が用いられ,指数関数や分数関数で表されることが多いようです (下右図).

よくある需要供給曲線の例

簡単な例を次のウェブページから引用して,関数の式とグラフを見てみましょう.
  「右下がりの需要曲線を導出する方法」
  https://kitaguni-economics.com/demand-curve/
このページには,需要曲線上の点の具体例として (購入台数 $x$,車の価格(万円) $y$) $=(1, 300)$, $(2, 130)$, $(3, 60)$ があり,限界代替率逓減の法則 (物を多く消費すると満足度が下がるという法則) により,各点での接線の傾き $\frac{dy}{dx}$ の絶対値がだんだん小さくなると述べられています.

上の3点の近くを通る指数関数を,"ke!san" というサイトの「e指数回帰」を利用して求め,グラフを描くと以下のようになります.$$y=663.8072 e^{-0.804718956x}$$


また,上の3点の近くを通る分数関数を,"ke!san" というサイトの「逆数回帰」を利用して求め,グラフを描くと以下のようになりました.$$y=-53.8461538+\frac{355.3846154}{x}$$


見た目はほとんど変わりませんね.3点における接線ベクトルを描き加えましたが,どちらも傾きの絶対値が小さくなっている様子が分かると思います.

[参考]

右下がりの需要曲線を導出する方法
https://kitaguni-economics.com/demand-curve/

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