Tuesday 22 January 2019

小説 京都寺町三条のホームズ 5

2016年 望月麻衣著 双葉文庫

カラーコード シーザー暗号 エニグマ

祖父がオーナーの骨董品店「蔵」を手伝う大学院生家頭清貴(通称ホームズ)と,アルバイトの高校生真城葵が,京都のさまざまな名所を舞台に活躍するライトミステリーです.
『灰桜色』のカラーコードは『#e8d3d1』.
『e8d3d1』をまずシーザー暗号化したら『h11g6g4』.
これを数字に変えたら『8117674』.
これをまた,アルファベットに変えたら,『haagfgd』.
『haagfgd』を『エニグマ』化したら,『rtwqokw』.
これを数字化すると,『182023151123』.
「これで,12桁や.……できた」
色のカラーコードは16進数です.16進数は0~9とA~Fの15個の数を使って表します.e8d3d1を10進数で表すと,
14×16^5+8×16^4+13×16^3+3×16^2+13×16+1=15258577
となり,『灰桜色』は1525万8577番目の色ということになります.因みに0に当たる#000000は黒,16進数6桁最後の#FFFFFF=1677万7215番目は白となっています.

シーザー暗号は,アルファベットをすべていくつかずつずらすという初歩的な暗号です.この場合 e→h は,e→f→g→hで3つずれるので,他の文字や数字も3つ後のものになります.すなわち,8→11, d→g, 3→6, d→g, 1→4となるので,『e8d3d1』が『h11g6g4』になります.

作品中で『h11g6g4』をわざわざ数字化してからアルファベット化していますが,なぜすぐにアルファベット化しなかったのでしょう.しかも8を11にしたのですから,11はaaではなく,11番目のアルファベットであるkではないでしょうか.ここはもとの6文字をキープして『haagfgd』ではなく『hkgfgd』とすべきでしょう.

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『エニグマ』は第2次世界大戦でドイツが開発した暗号で,解読困難といわれたのですが,イギリスの数学者Alan Turingが解読し,その功績で後に連合軍が優勢になったことが有名で,映画にもなっています.この暗号化は難しいので変換サイトで確認しました.右図のように『haagfgd』を『エニグマ』化したものは,確かに作品中の『rtwqokw』と一致しています.

ところが,
『rtwqokw』を数字化すると『182023151123』
と書かれていたのですが,よく見ると4つ目のqが抜けています.qは17番目のアルファベットなので,正しくは『18202317151123』となるはずですが,それでは14桁になってしまいます.

上で「すべき」と主張した6文字の『hkgfgd』を『エニグマ』化したら『rtwqok』となり,これを数字化すると12桁の『182023171511』になりました.

従って,作品中の文章は以下のように訂正した方がいいと思います(読んだのは第1刷だったので,その後訂正されているかも知れません).
『灰桜色』のカラーコードは『#e8d3d1』
『e8d3d1』をまずシーザー暗号化したら『h11g6g4』
これをアルファベットに変えたら『hkgfgd』
『hkgfgd』を『エニグマ』化したら『rtwqok』
これを数字化すると『182023171511』
「これで12桁や.……できた」 
ただ,これでもやはり11をaaにするのかkにするのか紛らわしいので,先にアルファベット化すればすっきりします.
『灰桜色』のカラーコードは『#e8d3d1』
『e8d3d1』をまずアルファベットに変えたら『ehdcda』
これをシーザー暗号化したら『hkgfgd』
『hkgfgd』を『エニグマ』化したら『rtwqok』
これを数字化すると『182023171511』
「これで12桁や.……できた」 
それにしても,誰かがこんな数字の決め方をしたとして,これを他の人が当てるなんて実際ありえないですよね.まあ,小説やからええか(笑).

[Reference]
色検索
https://www.colordic.org/search/
Enigma Simulation
http://enigmaco.de/enigma/enigma.html

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