Monday 9 November 2009

小説・映画 博士の愛した数式

オイラーの等式 ネイピア数 完全数 友愛数 他多数
 数学ブームの火付け役になったという点で、総合すると小説も映画もいい作品です。が、少々気になる点があったので、それも見どころのひとつということで述べます。
 まず映画のなかに√1=±1という誤解を招く表現があります。このミスをあとで試写会の時になってから気づいた監修の岡部恒治埼玉大学教授が、その話を雑誌「数学セミナー」2006年2月号で語っています。中学校の数学の先生になった「ルート」君が授業をしているシーンにありますので注目してください。
 一般に「オイラーの公式(Euler's formula)」は e^(iθ)=cosθ+isinθ をいうので、それにθ=πを代入して得られる等式 e^(iπ)=-1 を「オイラーの公式」と呼んでいるのが気になります。
 最も小さい「完全数」は6です。6以外の約数1、2、3を加えると6になります。プロ野球「阪神タイガース」の背番号6番といえば1981年に打率.358で首位打者を獲得した藤田平を思い出す人も多いでしょう。個人の好みで言うと、派手な江夏より地味な藤田を取り上げてほしかったと思います。
 小説では江夏のカードを探す場面が間延びして冗長な感を受けますが、映画ではその場面はなく、あっさりと仕上がっています。ただ、博士と義姉が能を鑑賞しながら手をつないでいる場面は小説にはなく、不要に思いました。
(追記)その後、地上波TVで放映された映画では、能を鑑賞するシーンは削除されていました。

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