極方程式 媒介変数表示
小学5年生の関口ハジメが天才的な数学の才能を持つことを,老数学者の内田豊に見いだされ,成長していくという話です.数学検定を受けたときにハジメから借りたコンパスをわざわざ家まで返しに来た剛田ハチへのお礼に,キーホルダーと同じ形のグラフを表す式をプレゼントする場面です.
ハジメ「これやってみて」
ハチ 「? グラフ問題 ……」
「あ これ… 私のキーホルダーの…… すごい…」
ハジメ「コンパス持ってきてくれたお礼!」
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| y=sin4x |
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| r=sin4θ |
小説,映画,ドラマ,漫画,アニメなどの物語の中に数学の話題が登場したとき,その内容・背景をさらに詳しく知ることができればもっと楽しむことができます.そんな場面に出会ったとき,ここに詳しい解説や関連する話題等を書き留めています.(数式にTexのコマンドが使えるMathjaxを利用しています)
極方程式 媒介変数表示
小学5年生の関口ハジメが天才的な数学の才能を持つことを,老数学者の内田豊に見いだされ,成長していくという話です.数学検定を受けたときにハジメから借りたコンパスをわざわざ家まで返しに来た剛田ハチへのお礼に,キーホルダーと同じ形のグラフを表す式をプレゼントする場面です.
ハジメ「これやってみて」
ハチ 「? グラフ問題 ……」
「あ これ… 私のキーホルダーの…… すごい…」
ハジメ「コンパス持ってきてくれたお礼!」
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| y=sin4x |
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フェルマーの小定理
小学5年生の関口ハジメが天才的な数学の才能を持つことを,老数学者の内田豊に見いだされ,成長していくという話です.やはり数学の得意な手嶋ナナオと加茂川で知り合う場面です.今回登場したフェルマーの小定理の証明はいくつか知られていますが,ここでは2種類の証明が出てきました.
[フェルマーの小定理] 整数$a$と素数$p$が互いに素であるとき,次式が成りたつ.$$a \ ^{p-1} \equiv 1 \pmod p$$
言い換えると「整数$a$が素数$p$の倍数でないとき,$a \ ^{p-1}$を$p$で割った余りは1になる」という定理です.
[手嶋ナナオの証明] $$\bar{ a } \in \left( \mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z } \right ) ^ {\times}とすると$$$$|\left( \mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z } \right ) ^ {\times}|=p-1$$$$\left( \mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z } \right ) ^ {\times}は有限巡回群なので$$$$ラグランジュの定理より$$$$\bar{ a }\ ^{p-1}\equiv \bar{ 1 } \pmod p $$
[関口ハジメの感想]これ テジマの式 ……すごい…きれい…
[関口ハジメの証明] $$(\ \underbrace{1+1+\cdot\cdot\cdot\cdot+1\ }_{aコ})^p \equiv 1^p+1^p+\cdot\cdot\cdot\cdot+1^p$$$$\quad\ \equiv a$$$$∴ \quad a ^p \equiv a \pmod p $$$$(a,p)=1\ なので$$$$a ^{p-1}\equiv 1 \pmod p $$
[手嶋ナナオの感想]二項定理…?二項係数が割り切れる事実を使ったのか…?こんな幼稚な方法でも解けるのか…
[手嶋ナナオの証明] は群論を使っています.群とは,演算が閉じていて(例えば有理数×有理数=有理数となるので有理数は掛け算について閉じている),結合法則 $a(bc)=(ab)c$ が成りたち,単位元(有理数なら1)と逆元(有理数 $a$ には逆数 $\frac{1}{a}$ )が存在する集合をいいます.
まず$\mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z } $は,$p$で割った余りが等しい数で類別される集合の集合を表します.$$\mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z }=\{\bar{ 0 }, \bar{ 1 }, \bar{ 2 }, \cdot\cdot\cdot\cdot\overline{ p-1 }\}$$
(例えば$\overline{ 2 }$は$p$で割った余りが2になる数の集合)
そこから$\bar{ 0 }$($p$の倍数の集合)を除いたものが$\left( \mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z } \right ) ^ {\times}$です.(証明の1行目)$$\left( \mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z } \right ) ^ {\times}=\{\bar{ 1 }, \bar{ 2 }, \bar{ 3 }, \cdot\cdot\cdot\cdot\overline{ p-1 }\}$$その位数(集合の個数)$|\left( \mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z } \right ) ^ {\times}|$ は $p-1$(個)になります.(証明の2行目)
具体例として$\mathbb{ Z }/ p \mathbb{ Z }$を$p=7$で考えましょう.これは小学4年生で習うカレンダー算(日暦算)をイメージすると分かりやすいです.整数全体を曜日が同じ日で類別します.例えば7で割って2余る数の集まり$\{…, 2, 9, 16, 23, 30, …\}$を$\overline{ 2 }$と表すと,$\mathbb{ Z }/7\mathbb{ Z }=\{\overline{ 0 },\overline{ 1 },\overline{ 2 },\overline{ 3 },\overline{ 4 },\overline{ 5 },\overline{ 6 }\}$となります.
そこから$\bar{ 0 }$($7$の倍数の集合)を除いた$(\mathbb{ Z }/7\mathbb{ Z })^{\times}=\{\overline{ 1 },\overline{ 2 },\overline{ 3 },\overline{ 4 },\overline{ 5 },\overline{ 6 }\}$は有限巡回群(位数が有限で,単位元以外のあるひとつの元を累乗していくと他のすべての元を表すことができる群)なので, 「$(\mathbb{ Z }/p\mathbb{ Z })^{\times}$の元の位数($\overline{ a }^n \equiv \overline{ 1 }$となる最小の$n$)が$p-1$の約数になる」というラグランジュの定理が使えることが分かります.(証明の3, 4行目)
実際,$\overline{ 1 }^1\equiv\overline{ 1 }, \ \overline{ 6 }^2\equiv\overline{ 1 }, \ \overline{ 2 }^3\equiv\overline{ 4 }^3\equiv\overline{ 1 }, \ \overline{ 3 }^6\equiv\overline{ 5 }^6\equiv\overline{ 1 }$となることから,$(\mathbb{ Z }/7\mathbb{ Z })^{\times}$の元の位数は1, 2, 3, 6,すなわち6の約数になっています.すると$(\mathbb{ Z }/7\mathbb{ Z })^{\times}$の元はどれも6乗すれば$\overline{ 1 }$になるので,$\overline{ a }^6\equiv \overline{ 1 } \pmod 7$が成り立ちます.これは7以外の素数$p$でも成り立ちますから次式が確かめられました.$$\overline{ a }^{p-1}\equiv \overline{ 1 } \pmod p$$
[関口ハジメの証明] は二項定理を一般化した多項定理を使っています.二項定理$$(x+y)^p=\sum_{r=0}^{p} {}_p \mathrm{ C }_r x^{p-r} y^r$$の展開式の係数は,${}_p \mathrm{ C }_0=1$と${}_p \mathrm{ C }_p=1$以外はpで割り切れますから,次式が成り立ちます.$$(x+y)^p \equiv x^p+y^p \pmod p$$同様に3つ以上の項の展開でも次式が成り立ちます.$$(x_1+x_2+\cdot\cdot\cdot+x_a)^p \equiv x_1^p+x_2^p+\cdot\cdot\cdot+x_a^p \pmod p$$これに$x_i=1$を代入すると次式になります.(証明の1~3行目)$$(1+1+\cdot\cdot\cdot+1)^p \equiv 1^p+1^p+\cdot\cdot\cdot+1^p \pmod p$$$$∴ \quad a ^p \equiv a \pmod p $$ここで,両辺を$a$で割って終わりかと思いますが,$=$ではなく$\equiv$なのでそれはできません.この式より,$a ^p-a$は$p$の倍数になります.すると,$a(a ^{p-1}-1)$が$p$の倍数となり,$(a,p)=1$($a$と$p$は互いに素)より $a$は$p$の倍数ではないので,$a ^{p-1}-1$の方が$p$の倍数になります.よって,次式が成り立ちます.$$a ^{p-1}\equiv 1 \pmod p $$
証明が「すごい」とか「きれい」などの感想は良いと思いますが,この「幼稚」という感想は賛同できませんでした.
[参考]
フェルマーの小定理とその3通りの証明
https://mathlandscape.com/fermat-little/
素因数分解 解の公式 加法定理
2024年『本屋大賞』受賞作.「わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」とか「わたしはお笑いの頂点を目指そうと思う」などと突然宣言し,幼なじみの島崎みゆきを巻き込んで実行していこうとする,成瀬あかりの中学2年生から高校3年生までの微笑ましい活躍を描いた短編集です.
「5082は2×3×7×11×11だな」
成瀬はなぜかわたしたちのエントリー番号の5082を割り算していた。
「何それ」
「大きい数を見ると素因数分解したくなるんだ」 (P.70)成瀬はシャープペンを机に置き、両手を後頭部に当てて天井を見上げた。ためしにかけ算九九を暗唱したら、ちゃんと最後まで言えた。解の公式も加法定理もすらすら言える。気を取り直して入試問題に向かってみたが、やっぱり手が動かない。 (P.183)
大きい数を見ると素因数分解したくなるなんていう人はあまりいないでしょうね.さて素因数分解というと,このように小さい素数から割り算を繰り返す方法を習います.
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| "Division Method" |
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| "Factor Tree Method" |
正多面体 オイラーの多面体定理
数学的才能のある小学5年生の関口ハジメが,老数学者・内田豊のもとで成長していくという話です.この中に「正多面体には正4面体,正6面体(立方体),正8面体,正12面体,正20面体の5つしかない」ことの証明がありました.それを引用しますが,分かり易くするために少し太線で加筆します.
多面体の各面を仮に正N角形とし
1個の頂点にM個の面(M本の辺)が集まるとして
正の整数の組 (M, N) が何組あるか考えればいい1つの辺は2面に共有されるので(①式でNFを2で割る理由)
正N角形の(N個の辺をもつ)面がF個ある多面体の辺の数Eはこう表せるE=NF/2 ……①また1つの辺は2つの頂点を結ぶので(②式でMVを2で割る理由)
V個の頂点にM個の面つまりM本の辺が集まるので 多面体の辺の数Eはこう表せるE=MV/2 ……②
①よりF=2E/N, ②よりV=2E/M
その2つをオイラーの多面体定理に代入して
V-E+F=2
2E/M-E+2E/N=2
E(2N-MN+2M)=2MN
>0
∴2N-NM+2M>0
MN-2M-2N+4<4
このNM不等式を満たす正の整数の組 {N, M} を求めると……,正多面体は5種類しかないことが分かる.
(以上 第4巻P84~85)
[2次元] 正3角形は{3},正4角形(正方形)は{4}[3次元] 正4面体は {3, 3},正6面体(立方体)は{4, 3}[4次元] 正8胞体(3次元超立方体)は{4, 3, 3}
[3次元] 正6面体(立方体){4, 3} は {正4角形{4}が,ひとつの頂点に3つ集まる}という意味[4次元] 正8胞体(3次元超立方体){4, 3, 3}={{4, 3}, 3} は {正6面体{4, 3}が,ひとつの辺に3つ集まる}という意味
デデキンドの切断 ベクトル空間
抜群の記憶力だけで京都の吉田大学(京大がモデル)の理学部に現役合格した横辺建己が,入学後最初に受けた数学の講義をまったく理解できなかったことがショックでそのまま2年も留年してしまいますが,3年目からようやく友達もできてやり直し,その後数学科に進学して奮闘するという話です.
第1巻 第1話 極限は突然に
初日につまづいたからといって2年も留年するのはあまりリアルではないと思いますが,横辺建己にそこまでショックを与えたのはどんな内容だったのでしょうか.その入学後初日2時間目の講義は「微分積分学」で,デデキンドの切断を使って実数の連続性を示す準備となる,有理数の切断の話でした.
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| 板書1 |
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| 板書2 |
板書2の見えない部分を推測すると,次のようになると思われます.
$\exists a \in A \ s.t. \forall b \in A, \ b \leq a$ …①
以上を分かり易く言い換えてみます.
(板書1)
有理数の全体$\mathbb{Q}$をその部分集合A(下組)とA'(上組)に分け(切断し),Aのどの元もA'のどの元より小さくなるようにする.
(板書2)
ある有理数が定まる切断は次の2通りのどちらかになる.
①Aに最大元$a$があり,A'には最小元がない.このとき有理数$a$が定まる.
②Aに最大元がなく,A'には最小元$a'$がある.このとき有理数$a'$が定まる.
③Aに最大元がなく,A'にも最小元がない場合,対応する有理数が定まらないので,実数を対応させることになります.実数の切断は①または②の場合しかないので,実数の全体$\mathbb{R}$が連続であるという話につながっていきます.
第2巻 第6話 酒と泪と男とベクトル
横辺建己が入学3年目になってやり直しを決意し,実在する書籍「理系のための線型代数の基礎」(永田雅宜著)のベクトル空間のところを読んでいます.
横辺「わ,わからない.ベクトルって矢印のことじゃないのかーーっ」
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| a, b, cはベクトル,α,βはスカラー |
矢印は物理で力や速度などに使われますが,ベクトル空間の一例にすぎません.一般には,足し算とスカラー倍ができて,上の8つの性質(最後の$1a=a$を除いて7つという場合もあり)を満たすベクトルの集まりをベクトル空間といいます.易しくいうと,$n$次元成分表示$(a_1,a_2,…,a_n)$と対応できるものの集まりはすべてベクトル空間になります.
例えば,$n$次元デカルト座標や$n$個のデータは$(a_1,a_2,…,a_n)$,複素数$a+bi$は$(a, b)$,上の多項式$x^2+2x+3$は$(1, 2, 3)$と表せるので,その集まりはすべてベクトル空間になります.なので,高校教科書では$\vec{a}$,$\vec{b}$のように上に矢印をつけますが,線形代数の専門書では矢印をつけず,太字で表すのが一般的です.
余談ですが,$n$個のデータが2つあって各々の平均との差(偏差)を表すベクトルを$\boldsymbol{a}$,$\boldsymbol{b}$とするとき,これら2つのデータの相関係数は次式で求められます.これは2つのベクトルのなす角の余弦になるので,正の相関が強いと同方向の$\cos{0°}=1$,負の相関が強いと逆方向の$\cos{180°}=-1$に近くなります.$$\frac{\boldsymbol{a} \cdot \boldsymbol{b}}{|\boldsymbol{a}| \ |\boldsymbol{b}|}$$
(参考)
実数の連続性(実数のデデキント切断)
https://wiis.info/math/real-number/definition-of-real-number/continuity-of-real-number/
ベクトル空間と基底
https://www.math.nagoya-u.ac.jp/~hisamoto/1W/hisamoto-1W17-03.pdf
「香具山さんは文系だから、知らないわよね。小島遊君、君は線形代数は単位ちゃんと取った?」クロネッカーのデルタは,2つの数$i$, $j$に対して0または1の値をとる次のような関数です.($\delta$は小文字のデルタ)
「どうして?」
「マトリクス、教わったでしょう?」
「行列ですね?」
「そう」紅子が頷く。「マトリクスの対角項だけを1にする。それ以外はすべて0にしたい。どうやってそれを書き表したら良いかしら?」
「えっと……、単位マトリクスのことですか? 斜めに1を並べて書いて、あとは0をひたすら入れるんじゃあ…… 」
「ニ次元で、しかも小さなマトリックスなら、それで書ける」紅子が頷いた。 「でも、一般式で表記したいときがあるでしょう? ほらほら,とっても有名な……」
「ああ、クロネッカのデルタ!」練無が叫んだ。
「何それ?」紫子がメガネを持ち上げてきいた。いつもより、ずっとインテリに見える。「クロネコのデルタ?」
「ね……」紅子がにっこりと微笑む。「三角じゃないけど、小文字のデルタを書いて、そのあとにi、jとか、さらにkとか、添え字を書く。それで、たとえば、デルタijと書かれていれば、それは、もしiとjが同じ整数なら、全体が1になる、もし違う整数なら全体が0になる、という関数なの。ようするに、数が同じならON、違えばOFF。その関数の名前が、クロネッカ・デルタっていう。これ、もの凄く有名だから,理系の大学生なら,まず知らない人はいないでしょう?」
先生「はい,じゃあこの問題,解けた人から前に出て解いてもらおうかな」
$f(x)=x^3+ax^2+bx$
$x=\frac{1}{\sqrt{3}}$のとき,極小値$-\frac{2\sqrt{3}}{9}$
$a=$,$b=$
また,関数$f(x)$の最大値は?
(緒方理珠が黒板に解答を書く)
$a=0, b=-1$
$x=-\frac{1}{\sqrt{3}}$のとき,最大値$\frac{2\sqrt{3}}{9}$
先生「ぜ…全部正解です.でも…緒方さん,途中式は…?」
理珠「途中式….すみません,とばして解いてしまいました」
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| y=x^3-x のグラフ |
関数$f(x)=-x^3+ax^2+bx+6\quad(-3≦x≦1)$ が,途中式を確認してみましょう.
$f(2)=0$
$x=1/\sqrt{3}$のときに極大値を取る
の2点を満たすとき,$a$,$b$の値を求めよ.
(緒方理珠が黒板に解答を書く)
先生「ぜ…全部正解です.でも…緒方さん,途中式は…?」
理珠「途中式….すみません,見た瞬間,答えが分かったので,とばしてしまいました」
「カラスは黒い」を否定するような,ありえねー仮説を立ててみるクマ.「カラスは黒かレインボーの半々」とかクマ.これが帰無仮説クマ.
この時,100匹連続でカラスが黒い確率は,隕石が頭の上を1兆回落ちてくるより小さいクマ.だからこの帰無仮説はありえねークマ.
なら「カラスは黒が90%,他は蛍光ピンク」という帰無仮説はどうクマ? これでも,100匹連続でカラスが黒い確率は0.00265%くらいクマ.やっぱありえねークマ.
「カラスは97.1%が黒」あたりから,確率が5%以上になり,やっとギリありえる感じになるクマ.よって「全てのカラスは黒い」とは言えなくても「97.1%以上のカラスは黒い」ということは示せるクマ.以上の値を検証してみましょう.
奏(かなで)「ハノイの塔の問題.漸化式で解いてみたんですけど,みてくれませんか.」ハノイの塔は,3本の棒のうちの1本に穴の開いたn個の円板が上から小さい順に通しておいてあり,全部をあるルールのもとで他の棒に移すというゲームで,円板64枚のときにすべてを移し替えると世界は終わるというインドの伝説があります.このブログでは,ドラマ「スペシャリスト3」と映画「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」に登場しました.
先生「そうです.$2^n-1$.よく解けましたね,奏君.ここからが面白いんですよ.伝説の通り,n=64だとすると,$2^{64}-1$です.これを年数にすると500億年近く.終わるころには世界が滅亡して…」
雪村心夜「30人の中に同じ誕生日の2人がいる確率は70.6%だ.」とありましたが,正確には「少なくとも2人以上」ですね.
雪村心夜「安心しろ.素数を数えているうちに終わる」素数が無限に存在することの証明は背理法で簡単に証明できます.高校数学の教科書に掲載されている$\sqrt{2}$が無理数であることの証明よりもずっと簡単です.
氷室菖蒲「だめよ.素数は無限に存在しているもの」
燈馬想「だから交点が1になる場合を考えて判別式が0になる値を求めるんです.」問題が掲載されていなかったので推理してみましょう.このころはまだ2人とも高校1年生なので,高校数学Ⅰの問題なら,放物線と直線の共有点が1つ,すなわち接するときの式中の定数を求める問題でしょう.そうだとすれば,「交点が1になる場合を考えて」よりも「共有点が1つになる場合だから」という表現のほうが適切ですね.
水原可奈「じぇんじぇんわかりましぇん」
ロキ「じゃア,カメーネフの死は"π"に符合してるとして…,劉の方は?」燈馬想は「自然数」,ロキは「オイラーの数」と言っていますが,eは「自然対数の底」,または「ネイピア数」と呼ばれることが多いです.「自然数」だと正の整数(または負でない整数)の意味を持つnatural numberと誤解しやすくなります.また,eという文字で表すのはオイラーが最初だったので「オイラーの数」でもいいのですが,他に「オイラーの定数(Euler's constant)」というのがあるので,混同しないようにしたいですね.
燈馬想「自然数eだよ」
ロキ「e? あのオイラーの数か?」
水原可奈「eって?」
燈馬想「円周率πは円周を円の直径で割った数.自然数eはネイピアの考案した対数という概念から生まれた数.そして虚数iは2乗して-1になる想像上の数として生まれました.この3つの記号はそれぞれ人類の歴史の中でなんの関連もなく生み出されたものです.ところが大数学者オイラーはこの3つの数に一つの関係を見つけ出した.ここでもeを「自然数」と呼んでいますが,さらにオイラーの公式(Euler's formula)$$e^{θi}=\cosθ+i\sinθ$$に$θ=π$を代入して得られるオイラーの等式(Euler's identity)$$e^{πi}=-1$$を「オイラーの公式」と呼んでいるのが気になりますね.$e^{πi}=-1$これがオイラーの公式,人類の数学史上最も美しい式と呼ばれるものです.」
燈馬想「『グラフで囲まれた部分の面積を求めろ』ってことなので,まず2つの交点のxの値を出して範囲を決めます.yが同値になるxってことだから…」燈馬想が水原可奈に数学を教えている場面ですが,台詞はこれだけで図もありません.これは積分の問題でしょう.中には公式を使って交点のxの値を出さずに解く方法があります.以前,映画「容疑者xの献身」で述べました.
xのn乗根がn=1から4まで紹介されていましたが,n=4のときの解(1の4乗根)は,$x^4-1=0$を解いて$x=±1$,$±i$になります.間違ってn=4のところにn=5のときの解(1の5乗根)が書かれてあります.と思ったらよく見ると値も違っていました.正しくは次のようになります.他のサイトでいくつも見つかりますから,確認しみてください.$$\frac{(-1+\sqrt{5})±i\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}, \quad \frac{(-1-\sqrt{5})±i\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}$$
トップのタイトルページの数式です.右上の図より,円$x^2+y^2=1$と,(-1,0)を通る直線$y=m(x+1)$の,(-1,0)でない方の交点の座標を求める問題のようです.横書きの数式なのに,板書が右から始まるのが変ですね.話は右上の図から始まって,右下の連立させた方程式を変形する過程まではいいのですが,そのあとの左の計算式(燈馬想に隠れて見えにくいですが)が少しおかしいですね.右下の式を整理すると次式になります.
▼ 「はああ…… 天元術かあ……」
「ごらん律,これが算額だ.自分で考えた問題を額にして神社に奉納するんだよ.父さんの算額はこれだ.答えが書いてないのは『遺題』といってね,『誰か解ける人はいるかい?』って訪ねているんだよ」
「じゃあ,あたしが解く!」
「うん,そうしたらおまえの答えを算額にしてこの隣に掲げなさい.」
