基礎の基礎として、全員が「ミル」という単位を覚える。ミルとは射撃および砲撃の照準に用いられる角度の単位であり、周回360度を6000ミルとして定義する。すなわち正面に対して右に90度 は1500ミルであり、上に45度は750ミルである。なぜこんな面倒な単位を用いるかといえば、「1000メートル先にある、幅1メートルのもの」がおおよそ1ミルであるからだ。 この単位を用いることは照準に有利となる。 故にスコープを覗いて、「幅50センチと推定される物体が1ミルの幅に収まっている」という状態があるならば、彼我の距離は500メートルと計算できる。
小説、ドラマ、映画、漫画、アニメ、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど、マスメディアの中に数学の話題が出てきたとき、その内容・背景をさらに詳しく知ることができればもっと楽しむことができます。そんな場面に出会ったとき、ここへ書き留めておこうと思います。(2016年投稿文より数式にTexのコマンドが使えるMathjaxを利用しています)
Tuesday 14 May 2024
小説 同志少女よ、敵を撃て
Thursday 9 May 2024
TVドラマ 霊験お初 ~震える岩〜
お初「算額にはどのようなことが書かれているのですか?」右京之介「お見せしましょうか.右の絵(①)では外側の大きな円の長さ,左の絵(②)では内側の2つの小円の径の長さを求めるのです」お初「ひょうでもって測ったらどうかしら」右京之介「それを算術で求めるところが学問なのです」
Friday 3 May 2024
映画 Mean Girls (2024)
関数の極限
直訳すると「意地悪な女の子たち」というタイトルの学園コメディで,2004年に公開された同名映画のリメイク版です.前作で主役だったリンジー・ローハンが学校対抗の数学コンテストの司会役でカメオ出演(特別出演)しています.このコンテストの最後,あと1問で勝敗が決まるという場面で,2004年の作品とまったく同じ次の問題が使われていました.$$\lim_{x\to 0} \frac{\ln(1-x)-\sin x}{1-\cos^2 x}$$
(ただし,$\ln x=\log_{e} x$)
相手校の生徒が「$-1$」と答えて不正解だった後,主人公のケイディが「極限は存在しない」と答えて勝利します.(前作と全く同じストーリーです)
なぜその答になるのか見てみましょう.まず上式を少し変形して,\begin{eqnarray}&=&\lim_{x\to 0} \frac{\ln(1-x)-\sin x}{\sin^2 x}\\&=&\lim_{x\to 0} \frac{\ln(1-x)-\sin x}{x^2} \cdot \frac{x^2}{\sin^2 x}\\ &=&\lim_{x\to 0} \frac{\ln(1-x)-\sin x}{x^2}\end{eqnarray}このままでは極限を求め難いので,分母も分子も微分可能で$\frac{0}{0}$(不定形)であることからロピタルの定理を使います.この分母子を微分すると,$$\lim_{x\to 0} \frac{\frac{-1}{1-x}-\cos x}{2x}$$定理より,これに極限があれば元の式の極限と一致するのですが,$$\lim_{x\to +0} \frac{\frac{-1}{1-x}-\cos x}{2x}=\frac{-2}{+0}=-\infty$$$$\lim_{x\to -0} \frac{\frac{-1}{1-x}-\cos x}{2x}=\frac{-2}{-0}=\infty$$となり,右極限と左極限が一致せず,極限が存在しないので,元の式も極限が存在しません.
因みに,グラフ描画アプリGeoGebraで確認するとこうなります.