Friday, 3 May 2024

映画 Mean Girls (2024)

2024年 米国

関数の極限

直訳すると「意地悪な女の子たち」というタイトルの学園コメディで,2004年に公開された同名映画のリメイク版です.前作で主役だったリンジー・ローハンが学校対抗の数学コンテストの司会役でカメオ出演(特別出演)しています.このコンテストの最後,あと1問で勝敗が決まるという場面で,2004年の作品とまったく同じ次の問題が使われていました.$$\lim_{x\to 0} \frac{\ln(1-x)-\sin x}{1-\cos^2 x}$$

(ただし,$\ln x=\log_{e} x$)

相手校の生徒が「$-1$」と答えて不正解だった後,主人公のケイディが「極限は存在しない」と答えて勝利します.(前作と全く同じストーリーです)

なぜその答になるのか見てみましょう.まず上式を少し変形して,\begin{eqnarray}&=&\lim_{x\to 0} \frac{\ln(1-x)-\sin x}{\sin^2 x}\\&=&\lim_{x\to 0} \frac{\ln(1-x)-\sin x}{x^2} \cdot \frac{x^2}{\sin^2 x}\\ &=&\lim_{x\to 0} \frac{\ln(1-x)-\sin x}{x^2}\end{eqnarray}このままでは極限を求め難いので,分母も分子も微分可能で$\frac{0}{0}$(不定形)であることからロピタルの定理を使います.この分母子を微分すると,$$\lim_{x\to 0} \frac{\frac{-1}{1-x}-\cos x}{2x}$$定理より,これに極限があれば元の式の極限と一致するのですが,$$\lim_{x\to +0} \frac{\frac{-1}{1-x}-\cos x}{2x}=\frac{-2}{+0}=-\infty$$$$\lim_{x\to -0} \frac{\frac{-1}{1-x}-\cos x}{2x}=\frac{-2}{-0}=\infty$$となり,右極限と左極限が一致せず,極限が存在しないので,元の式も極限が存在しません.

因みに,グラフ描画アプリGeoGebraで確認するとこうなります.

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