Thursday, 26 March 2015

小説 風が強く吹いている

楕円
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ひさしく覚えなかった高揚が、走(かける)の心と体を震わせた。
だがここは、永遠の楕円を描く競技場のトラックではない。
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 陸上競技のトラックは楕円(ellipse)というより楕円状(oval)ですね。国際陸上競技連盟(International Association of Athletics Federations = IAAF)の公認トラックは線分2本と半円2個でできていて、線分の長さが84.39m、円の半径が36.50m。円の外側0.30mのところを走って1周400mになるようにしているので、その計算は次のようになります。
84.39×2+2π×36.80=400.00m
 もしトラックが本物の楕円ならどうなるでしょうか。長軸をa、短軸をbとすると楕円の媒介変数表示は
x=acost, y=bsint
となります。公認トラックの端から端+0.3m×2の距離が
2a=84.39+36.80×2=157.99m
なので、この1/2のa=78.995mの長軸を持つ楕円で周長が400mになるものを求めてみましょう。楕円の面積はπabと簡単に求められるのですが、周長は難しい計算になります。媒介変数表示の曲線の長さの公式より
4∫[0 to π/2](Sqrt(a^2(cost)^2+b^2(sint)^2)dt=400
を解けばいいのですが、これは第二種完全楕円積分といって初等的な計算では求められません。そこでグラフ電卓を使って求めると、短軸が46.17mになりました。この楕円を実際のトラックに重ねてみると図のようになります。公認トラックの図はIAAF official websiteから引用しましたが、そこではoval trackとなっていました。図の下のキャプションは、「図1.2.3A 400m標準トラック(半径36.50m)の形と寸法(単位はm)」という意味です。

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