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三角関数 ベクトル
文科省官僚の御上孝(みかみたかし)が,官僚派遣制度という左遷人事によって私立の進学校へ出向になりますが,現場から声をあげて権力に立ち向かい,内部から変革していこうとする話です.
授業で数学の問題を説明する場面ですが,板書の解答に少しミスがありました.
<大問4> a,bを実数とし,少なくともaとbのいずれか一方は0でないとする.θが0≦θ<πの範囲を動くとき, $((a\cosθ+b\sinθ)\cosθ-2a)^2+((a\cosθ+b\sinθ)\sinθ-2b)^2$の最小値を求めよ.
御上孝 「これ,最小値を求めよってなってるから,三角関数を使った方程式として解こうとする人が多い.(上の解答を映して)でもこれ,実は図形の問題なんだよね.図で描いてみればすぐに答えが出る.(下の別解を板書して)こう考えたとき,ひとつの図形が見えてくる.つまり最小になるのは,点Pと点Aが一致した時だと分かる.そこまで分かればこうやって簡単に解ける.ここで大切なのは,代数と幾何,つまり関数と図形という2つのジャンルが数学にある,という謎の思い込みを捨てることなんだよね.そうしないと解ける問題も逃してしまう.交互に学んでいくのは,関連し合っているからなんだ.という視点を忘れないように」
「与式はP((acosθ+bsinθ)cosθ, (acosθ+bsinθ)sinθ)とQ(2a,2b)の距離とみることができる」とありますが,正確には「距離の2乗」ですね.また,図に点Qと点Rの記載がありませんが,Rは単位円周上の点(cosθ, sinθ)なのでしょう.
点Pがどこにあるのか知るために,$\overrightarrow{OP}$を次式で表していますが,板書では3行目の最後に$\overrightarrow{OR}$が抜けています.∠AORを$\alpha$としましょう.$$\begin{eqnarray}\overrightarrow{OP}&=&((a\cosθ+b\sinθ)\cosθ, (a\cosθ+b\sinθ)\sinθ)\\&=&(a\cosθ+b\sinθ)
\left( \begin{array}{c}
\cosθ \\
\sinθ \\
\end{array}
\right) \\&=&
\left(\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OR}\right) \ \overrightarrow{OR} \\&=& \left(\vert\overrightarrow{OA}\vert\cos\alpha \right)\overrightarrow{OR}
\end{eqnarray}$$
最後の式は,$\overrightarrow{OR}$ と同じ向きで長さが$\vert\overrightarrow{OA}\vert\cos\alpha$なので,$\vec{OA}$から$\vec{OR}$の上への正射影になっています.つまり,点PはORの延長上で∠APOが90°になるところにあります.すなわち,点PはOAを直径とする円周上を動くので,$PQ^2$が「最小になるのは,点Pと点Aが一致した時」だと分かります.
というわけで,この問題を図形の問題として捉えるのは,点Pがどこにあるかが理解できないと難しいですね.主演の松坂桃李が「代数と幾何,つまり関数と図形」と言ったとき,思わず「中トロ寄りの大トロ,大トロ寄りの中トロ」というCMを思い出してしまいました(笑).
2025/02/09追記
たまたまYouTubeで監修者の動画を見つけました.第1話の板書で「距離の2乗」が「距離」になっていたのは監修者のミス,$\overrightarrow{OR}$ が抜けていたは撮影現場の転記ミスだったようです.
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監修者の解答 |
2025/01/27追記
第2話 2025年1月26日放送
微分積分学の基本定理
第1話に続いて第2話でも授業場面に,数学の問題の解説と解答が登場しました.問題は,「演習109 (3) この方程式を満たす定数Cの値を求めよ」 だと思われます.残念ながら,ここにもひとつミスがありました.1行目の 「$+C$」 の前に 「$dt$」 が抜けています.
決して粗探しをしているわけではないのですが,数式を見ると正しいかどうか確認したくなるんですよね.宮島未奈の小説「成瀬は天下を取りにいく」主人公の成瀬あかりが「大きい数を見ると素因数分解したくなるんだ」 と言っていたのと同じような感じですね(笑)
気になったので,第1話の後半に少しだけ出てきた,小島よしおが講師役の授業の板書を見てみたら,またひとつミスを見つけてしまいました.軌跡は 「図の実線部分」 で正しいのですが,$y=x^2$のグラフは定義域が -1≦x≦1 なので値域は 0≦y≦1 でないといけませんね.
たぶん,監修の人がいるはずなので,数式を提供した人が撮影のときに実際に映る数式を再度確認してほしいですね.こんな視聴者もいるのですから…(笑)
2025/02/07追記
第3話 2025年2月2日放送
微分
今回も映った板書に問題がなく,解答のみでした.
問題を推測すると,次のようになるのではないかと思います.
[問題] a>0とする.$f(x)=x^3-3a^2x$ について
(1) $y=f(x)$がx≧1で単調増加となる条件を求めよ.
(2) 次の2つの条件を満たすとき,a, bのとりうる値の範囲を求めよ.
条件1:$f(x)=b$ が異なる3つの実数解を持つ
条件2:その解を小さい方からα,β,γとするとき,1<βとなる
板書の(2)の後半は,かなり説明不足ですね.(2)の分かり易い解答を試みてみます.
[(2)の解答]
条件1を満たすには
$-2a^3<b<2a^3$ …① であればよい
条件2を満たすには
$1<β$ より
$b<f(1)$ つまり $b<1-3a^2$ …②
かつ $-a<\beta<a$ であることから
$1<β$ となるには $1<a$ …③ でなければいけない
③のもとでは $-a<1<a$ だから
$f(a)<f(1)<f(-a)$
$-2a^3<1-3a^2<2a^3$ なので
$1-3a^2<2a^3$ …④
求める範囲は ③ かつ ①②④ より
$1<a$ かつ $-2a^3<b<1-3a^2$
ドラマにはありませんでしたが,御上先生がこの問題を解説するならどのようにするのか気になるところです.
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