ミル(mil=角度の単位)
第二次世界大戦中の1942年,旧ソ連の小さな村で,当時18歳の少女セラフィマの母親を含む村人全員をドイツ軍が惨殺し,さらに赤軍(ソ連地上軍)が村全体を燃やしたことから,生き残ったセラフィマが狙撃兵になって復讐しようとする話です.
狙撃兵訓練学校での座学の内容です.
基礎の基礎として、全員が「ミル」という単位を覚える。ミルとは射撃および砲撃の照準に用いられる角度の単位であり、周回360度を6000ミルとして定義する。すなわち正面に対して右に90度 は1500ミルであり、上に45度は750ミルである。なぜこんな面倒な単位を用いるかといえば、「1000メートル先にある、幅1メートルのもの」がおおよそ1ミルであるからだ。 この単位を用いることは照準に有利となる。 故にスコープを覗いて、「幅50センチと推定される物体が1ミルの幅に収まっている」という状態があるならば、彼我の距離は500メートルと計算できる。
もともと1ラジアン(rad)の1000分の1を1ミリラジアン(mrad)といい,1周360度=2$\pi$ラジアンは2$\pi$×1000≒6283(ミリラジアン)になります.
ラジアンの定義より,半径1の扇形の弧の長さが1になるときの中心角が1ラジアン(≒57.3度)ですから,半径1000mの扇形の弧の長さが1000mになるときの中心角も1ラジアンです.ということは半径1000mの扇形の弧の長さが1mになるときの中心角は$\frac{1}{1000}$ラジアン=1ミリラジアン(≒0.0573度)になります.
なので「1000 メートル先にある、幅1メートルのもの」は1ミリラジアンになるわけですが,計算しやすいように旧ソ連では360度=6000ミル(日本では6400ミル)とし,「1000 メートル先にある、幅1メートルのもの」を「おおよそ1ミル」としています.
射撃用の銃のスコープにはミル単位の目盛りがついていますが,ここでは角度というよりは標的の見かけの大きさをミルで測ります.
[例1] 上の例「幅50 cm(0.5m)と推定される物体が1ミルの幅に収まっている」(下図の赤い長方形)なら,それは2倍大きく見えているので,距離は1000÷2で500mということになります.
[例2] 高さ1.7mの標的が1ミルに見えたら,距離はその1000倍で1700mですが,4ミルの高さに見えたら(下図の赤い長方形),それは4倍大きく見えているので,距離は1700÷4で425mになります.
つまり,実際の標的の大きさを $a$ m,スコープ内での見かけの大きさを $m$ ミルとすると,次の式で距離 $d$ (m)を計算できます.$$d=\frac{1000a}{m}$$従って,標的の大きさが一定の場合,ミルと距離は反比例することになります.
[参考]
HB-PLAZA
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