▼和也くんは,午後3時10分に時速4キロの速さで家を出発しました。信号もない一本道を歩き続けましたが,1時間20分歩いたところで忘れ物に気づき,回れ右して家に戻りました.家にいた彼のお兄さんは,午後4時ちょうどに和也くんの忘れ物に気づき,届けてあげようと時速2キロで出発しました.二人は何時何分に出会うでしょうか.
算数の文章題は,ありそうで実はあり得ないような問題が確かに多いですね.ツッコミどころ満載なので,お笑いネタにするのはいいアイデアだと思います.この問題のツッコミどころはこんな感じでしょうか.
・人が長時間ずっと等速で歩くという前提自体が実際にはあり得ない.
・普通,家の周りにずっと信号のないような一本道はない.
・忘れ物が何なのか気になる.
・わざわざ「回れ右」しなくても向きを変えられる.
・時速2kmで追いかけるのはあまりにも遅すぎる.弟が気づいて引き返さなければいつまでも追いつけない.
ではこの問題を解いてみましょう.小学生はまだ一次関数を習っていないので,まずその前提で解きます.和也くんが忘れ物に気づいたのは出発して1時間20分後=4/3時間後なので,家から4×(4/3)=16/3kmの地点にいます.そのときの時刻は午後4時30分ですが,兄は出発して30分=1/2時間経っているので,家から4×(1/2)=1kmの地点にいます.その距離の差を2人の速さの和で割ると出会うまでの時間が求められます.(16/3-1)÷6=13/18時間後=43分20秒後なので,出会う時刻は午後5時13分20秒ということになります.
ついでに中学2年生の練習問題として一次関数を使って解いてみましょう.出発してからの時間をx,家からの距離をyとします.和也くんが戻るときを表すグラフは,時速-4kmで(8/3, 0)を通ることからy=-4x+32/3(式①).兄の動きを表すグラフは,時速2kmで(5/6, 0)を通ることからy=2x-5/3(式②).①②の連立方程式を解くとx=37/18.午後3時10分の37/18時間後=2時間3分20秒後なので,出会う時刻は午後5時13分20秒ということになります.分かり易いようにグラフも描いてみました.
こちらの塾のCMにも算数文章題が出てきます。映像化すると面白いです。