フラクタル コッホ曲線 必要条件・十分条件 不完全性定理
ごく普通の女子大生である井沢直美が,飛行機に搭載された量子コンピューターを駆使して占いやカウンセリングをしようとする会社でのアルバイトで,それまでの日常から想像もできなかったような稀有な体験をするという話です.
「フラクタル?」 智恵実が聞いた。フラクタル図形とは自己相似な図形,すなわち部分と全体とが相似な図形のことで,ここで登場したコッホ曲線の他に,シェルピンスキーのギャスケット,カントール集合などが有名です.
「規則性の単純な "自己相似" 図形ですね。つまり図形を構成する小さな部分が、 図形全体と同じょうな構造をもつ幾何学図形。自然のなかでも、海岸線、 雲、 銀河、 星団などが、よく似た性質をもつと考えられています。そのフラクタルのなかで、我々が採用したのは "コッホ曲線" といわれるもので、正三角形をべースにしています」
「清算関係?」
「正三角形」小佐薙がもう一度言った。「各辺を三等分し、その中央を一辺とする小さな 正三角形を、外側にそれぞれ描く。それを際限なく描き続ける。すると,有限の大きさであるにもかかゎらず、周囲の長さは、理論上無限大の図形ができるわけです」
有限の大きさの中に、無限の長さ ......。直美は、頭の中でくり返した。
1次元図形である線分、2次元図形である正方形、3次元図形である立方体の各辺を2等分したとき、1次元では2個の線分、2次元では4個の正方形、3次元では8個の立方体ができます.つまり、一辺を$n$等分すると、$n$個の線分、$n^2$個の正方形、$n^3$個の立方体ができますが,この指数が普通に2次元,3次元などという次元の数を表しています.
フラクタル次元は,一辺を$n$等分して$m$個の相似な図形ができるとき,$$\frac{\log{m}}{\log{n}}$$で定義されます.この定義は普通の次元にも当てはまり,例えば立方体の各辺を2等分したとき,8個の立方体ができるので,$$\frac{\log{8}}{\log{2}}=3$$となり,次元の数は3ということになります.
一方,フラクタル図形は次元が非整数になるのが特徴です.
コッホ曲線 |
シェルピンスキーのギャスケット |
カントール集合
カントール集合 |
この小説は神様論が冗長で,読むのに少し疲れるところもありましたが,面白い言葉のパロディが多くて楽しめました.
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