双曲線 証明 否定命題 十分条件 必要条件
華麗に事件を解決することを夢見ている探偵事務所の代表兼調査員の小石と,他社から引き抜かれてきた相談員兼調査員の蓮杖(れんじょう)は,不倫や浮気の調査依頼ばかり引き受けていたが,過去の思わぬ事件を通じて意外な真相を導いていくという話です.
小石の方から 「新作の動画出てるから見ときたい」 と言ってきたくせに、当人はもう興味を失ったらしく、『殺しの双曲線』というタイトルの文庫へと目を落としている。
(中略)
「その本、小石さんの蔵書でしょ。一回読んでるのにまた読み返すんですか?」
「双子が出てくるんだよね。最初に、双子トリックを使うって明言されてるやつ。なんか再読したくなっちゃった。蓮杖くんはこれより先に『ウツボラ』読んでね」(P143-144)
西村京太郎氏の推理小説『殺しの双曲線』は1971年に発表されました.双曲線は同じ形のグラフが2つ出現するので,双子が登場する小説のタイトルになったのでしょう.日本では最初中学1年生で反比例のグラフとして学習しますが,双曲線という言葉は出てきません.その後は,高校で二次曲線のひとつとして学習します.
一般の反比例のグラフと式は次のようになり,
$y=\frac{a}{x}$
一般の双曲線のグラフと式は次のようになりますが,式がちょっと複雑になりますね.
$\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$
$\frac{x^2}{2}-\frac{y^2}{2}=1$ を時計の針と反対方向に45°回転させると $y=\frac{1}{x}$ のグラフになります.その様子をGeogebraで作ってみました.
さて,形は双曲線にならないのに双曲線関数と呼ばれるものがあります.
$$\displaystyle y=\sinh x={e^{x}-e^{-x} \over 2},\quad y=\cosh x={e^{x}+e^{-x} \over 2}\tag{1}$$$$y=\displaystyle \tanh x=\frac{e^{x}-e^{-x}}{e^{x}+e^{-x}}=\frac{\sinh x}{\cosh x}$$
記号は三角関数に似ていますね.実際,読み方もハイパボリックサイン,ハイパボリックコサインと読むし,性質も加法定理や微分公式などよく似ているのですが,グラフの形状は双曲線とは全く異なります.ではなぜ双曲線関数と呼ばれるのでしょうか.
三角関数は,$\cos^2 \theta+\sin^2 \theta=1$ が成り立ち,円 $x^2+y^2=1$ の媒介変数表示ができるので, 円関数とも呼ばれます.それと同様に,双曲線関数は,上式(1)から $\cosh^2 t-\sinh^2 t=1$ を導くことができて,双曲線 $x^2-y^2=1$ の媒介変数表示ができるのでこう呼ばれています.
| 円と双曲線の媒介変数表示 |
因みに,円関数の$\theta$は,扇形OPQの①中心角,②弧の長さ,③面積の2倍を表しますが,双曲線関数の $t$ は③OPQで囲まれた部分の面積の2倍だけを表します.
ところで,本文の『ウツボラ』は中村明日美子原作の 「顔のない死体とひとつの小説をめぐる謎の物語」 を描いた漫画だそうです.これも一度読んでみたいですね.

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