Sunday, 5 November 2017

NEWS 太陽系外からの彗星発見か 国際天文学連合

2017年10月26日 日本経済新聞他

双曲線 楕円
[ワシントン=共同] 国際天文学連合小惑星センターは25日、太陽系外から飛んできた可能性がある彗星(すいせい)を発見したと発表した。確認されれば、恒星間の軌道を飛行する初の 「恒星間彗星」となる。
 彗星は、米ハワイ大の望遠鏡が発見した「C/2017U1」。現在は地球の軌道と火星の軌道の間を飛んでいるとみられる。世界各地の天文台が30回以上観測した結果、太陽系の外からやってきた可能性があることが分かった。
 同センターは「大きな双曲線軌道を描いているようだ」としており、太陽に近づくのは1度きりで戻ってこないとみられる。オーストラリアのメディアは「太陽から25光年と比較的近くにある恒星、こと座のベガのある方向から来たようにみえる」と報じた。
 彗星は太陽の周りを回る楕円軌道を描いたり、惑星からの力を受けて太陽系外にはじき飛ばされたりするものがこれまで発見されている。
彗星や惑星は楕円軌道で,太陽はその楕円の持つ2つの焦点のひとつだと習ったので,彗星に双曲線軌道のものが存在するのは意外でした.楕円は「2点(焦点)からの距離の和が一定である点の軌跡」,双曲線は「2点(焦点)からの距離の差が一定である点の軌跡」です.いちばん上の図では軌道が急カーブしている少し内側に太陽があるので,そこが焦点ということになります.

まとめて二次曲線と呼ばれる円,楕円,放物線,双曲線は,円錐を切断する方向を変えるとこれらの形の切り口が得られるので,円錐曲線とも呼ばれています.同じ仲間といえますが,かなり形は違いますね.円とどれだけ近い形か,かけ離れた形かを示す値eを離心率といい,円の離心率は0,楕円は0<e<1,放物線はe=1,双曲線は円からかけ離れた形をしているので1<eとなります.地球の軌道離心率は0.0167なので,ほとんど円に近いということが分かります.一方,あの周期75年といわれるハレー彗星の軌道離心率は0.967なので,かなり放物線に近い,細長い楕円ということができます.

双曲線軌道なら,右上の図でいえばこの彗星は遥か遠くからやってきて,太陽(焦点)の近くの頂点 (a, 0) で急カーブして方向を変え,また遥か彼方に去って行くというイメージです.もし仮に双曲線の式(標準形は$\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$)が $x^2-y^2=1$ならa=b=1なので,頂点は(1, 0),焦点$(\sqrt {a^2+b^2}, 0)$は$(\sqrt {2}, 0)$になります.双曲線の最も易しい例は,中1で学習する反比例のグラフ$y=\frac {k}{x}$ですね.$y=\frac {1}{x}$のとき,頂点は(1, 1)ですから,この軌道なら太陽は$(\sqrt {2}, \sqrt {2})$という位置にあるということになります.

<余談1> 回転軸に平行でない直線が回転すると,一葉双曲面ができます.兵庫県神戸市のポートタワーがそのようなつくりになっています.一度近くまで行って,確かめてみてください.

<余談2> 私が小中高と育った兵庫県伊丹市の市章は双曲線に似ています.一度検索して見つけてみてください.

[Refference]
For the first time, astronomers are tracking a distant visitor streaking through our solar system
http://www.sciencemag.org/news/2017/10/first-time-astronomers-are-tracking-distant-visitor-streaking-through-our-solar-system
軌道離心率
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8C%E9%81%93%E9%9B%A2%E5%BF%83%E7%8E%87

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