2014年12月29日

小説 1Q84

平均律
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 『平均律クラヴィーア曲集』は数学者にとって、まさに天上の音楽である。十二音階すべてを均律に使って、長調と短調でそれぞれに前奏曲とフーガが作られている。全部で二十四曲。第一巻と第二巻をあわせて四十八曲。完全なサイクルがそこに形成される。
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 ふかえりが天吾に聞かれて、お気に入りの音楽はバッハの『平均律クラヴィーア曲集』だと答えた場面です。ここでの「天上」とは「最高の」「この上ない」という意味だと思われます。なぜ数学者にとってそんなに良い音楽なのでしょうか。
 平均律は、1オクターヴを均等な周波数比で12等分した音律、すなわち十二平均律を意味する場合が多いようです。すると1オクターヴ上の音は周波数が2倍になるので、均等に分けると1つの半音につき周波数は「12√2=12乗根2」倍になります。音階の分類が、「公比が累乗根を使って表される数である等比数列」で表されているからでしょうか。このことが数学者が歓喜するほどのことだとは思えないのですが…。それとももっと他に意味があるのでしょうか。

2014年10月19日

小説 お任せ!数学屋さん

台形の加重平均 他多数
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 r=(1-n)p+nq
「台形には必ず平行な2辺が存在するよね。いわゆる上底と下底。その上底と下底の間に、さらにもう1本平行線を引く場合に使う公式なんだよ。」
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 第1章(問1)では計算が丁寧だったのに、第2章(問2)ではかなり公式の導出やあとの計算が端折られていて、分かりやすい図はいつ出てくるのかと思ったら結局出てきませんでした。あのままでは分かりづらいので、図と計算をここにメモしておきましょう。
まずP.99の公式の導出。右図でAB//DFとします。△DEN∽△DFCよりn:1=EN:FCなので、
 n:1=(r-p):(q-p)
 r-p=n(q-p)
 r=p+nq-np=(1-n)p+nq
次にP.105の2次方程式の計算。
 {45+(15n+45)}×AM÷2={(15n+45)+60}×MB÷2
 {45+(15n+45)}×AM={(15n+45)+60}×MB
 {45+(15n+45)}×70n={(15n+45)+60}×70(1-n)
 {45+(15n+45)}×n={(15n+45)+60}×(1-n)
 15n^2+90n=15n+105-15n^2-105n
 30n^2+180n-105=0
 2n^2+12n-7=0
それにしても、中2の生徒に中3で習う相似、2次方程式、平方根、解の公式などの話をしたら、当然魔法のように聞こえるでしょうね。読んでいてぜひほしいと思った学校のグラウンドの図も作っておきました。

2014年5月6日

小説 陽気なギャングの日常と襲撃

仕事(ベクトルの内積)
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 力が働いて物体が移動したときに、物体の移動した向きの力と移動した距離との積を、力が物体になした仕事という。
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物理でいう仕事(単位N・m=J)というのはベクトルの内積にあたります。ベクトルaとベクトルbの内積はab=|a||b|cosθで定義されます。物体にかけた力を表すベクトルaと移動を表すベクトルbが同じ方向の場合はθ=0なのでcosθ=1ですから、仕事=内積はab=|a||b|となりますが、同じ方向でない場合、移動方向にかかる力は|a|cosθとなりますから、仕事=内積はab=|a||b|cosθとなります。私が高校のときの数学の教科書には定義式以外に説明がなかったので、それが何を意味するのか長い間分かりませんでした。
 ベクトルの掛け算には内積と外積があります。内積はベクトル・ベクトル=スカラー(定数)になりますが、3次元での外積はベクトル×ベクトル=ベクトルになります。ベクトルの外積が表す物理量のひとつとして力のモーメントがあります。力のモーメントは回転運動を与える力の能率のことで、回転軸から力を加える点を結ぶベクトルをa、加える力を表すベクトルをbとするとき、その大きさは|a×b|=|a||b|sinθで、その方向はabに向かって近づく回転で右ネジが進む方向です。N・mという単位は仕事と同じですが、異なるものです。
 ちなみに広義の外積は2次元でも定義できて、2つの平行でないベクトルが作る平行四辺形の面積になります。成分で見てみると、a=(a1, a2), b=(b1, b2)のとき、外積は
|a×b|=|a1b2-a2b1|
になります。これを使うと3点を結ぶ三角形の面積が簡単に求められることはよく知られてます。