Wednesday, 26 March 2014

ドラマ 浅見光彦シリーズ「不等辺三角形」

不等辺三角形 重心
----
浅見「それが作る不等辺三角形の重心は…、この四阿(あずまや)!」
----
 不等辺三角形とは、二等辺三角形でも正三角形でもない、普通の三角形のことですね。三角形の五心のうち、重心は3中線の交点であると習います。実際に地図上の三角形の重心を求めてみましたが、「この四阿(あずまや)」と重心は少しだけずれていました。
 実は重心には3種類あります。
①幾何的重心…重みのある均質な薄い板と考えたときの重心
②物理的重心…各頂点に同じ重みがあると考えて他は無視したときの重心
③フレーム重心…各辺を重みのある均質なフレームと考えて他は無視したときの重心(ここでは言及しません)
 三角形ABC(各点の位置ベクトルをa,b,cとする)の場合、①②は一致して、その位置ベクトルは(a+b+c)/3になります。ところが四角形の重心の場合、①②は一致しません(一致するときもあります)。四角形ABCDの物理的重心の位置ベクトルは(a+b+c+d)/4になりますが、幾何的重心は、四角形を2つの三角形に分割した場合にそれらの重心を結ぶ線分上にあり、分割の仕方は2通りありますから、2本の線分ができ、これらの交点が幾何的重心ということになります。
 実際にその位置ベクトルを求めてみました。計算を簡単にするため、図のように、四角形OACBとし、それら4点の位置ベクトルを0,a,pa+qb,b(p,qは実数)としています。
以下、g1~g4,x1,x2はベクトル、s,tは実数です。
物理的重心
 (0+a+b+pa+qb)/4={(1+p)a+(1+q)b}/4
幾何的重心
 線分OCで分割された2つの三角形の重心の位置ベクトルは、g1=(a+pa+qb)/3, g2=(pa+qb+b)/3
 この2点を通る直線のベクトル方程式は、x1=(1-s)(a+pa+qb)/3+s(pa+qb+b)/3…(A)
 線分ABで分割された2つの三角形の重心の位置ベクトルは、g3=(a+b)/3, g4=(a+pa+qb+b)/3
 この2点を通る直線のベクトル方程式は、x2=(1-t)(a+b)/3+t(a+pa+qb+b)/3…(B)
 (A)(B)の交点を求めるので、連立させます。
 (A)(B)より{(1-s)(1+p)+sp}a+{(1-s)q+s(1+q)}b={(1-t)+t(1+p)}a+{(1-t)+t(1+q)}b
 係数比較して
 (1-s)(1+p)+sp=(1-t)+t(1+p), (1-s)q+s(1+q)=(1-t)+t(1+q)
 整理すると
 p-s=tp,  q+s=1+tp
 この連立方程式を解いて
 s=p/(p+q), 1-s=q/(p+q)
 これらを(A)に代入すると、
 x1=(q/(p+q))(a+pa+qb)/3+(p/(p+q))(pa+qb+b)/3
   ={1/(3(p+q))}{(p^2+pq+q)a+(q^2+pq+p)b}
 となりますので、物理的重心とは特別な場合を除いて一致しません。
 図の赤い平行四辺形の対角線の交点が物理的重心、青い短い2本の線分の交点が幾何的重心です。
(2014年10月6日追記)
 曲線で囲まれた図形の重心を積分を使って求める公式を導出なしに掲載しているサイトが多いので、なぜその公式が成り立つのかをこちらにまとめてみました。

No comments:

Post a Comment