素数 モンティ・ホール問題 ロジスティック写像
近所の犬が殺された事件の解明をしようとする,自閉的傾向のある少年クリストファーの視点で語られる小説です.物語の流れとは関係なく数学や理科の話が唐突に出てきます.
モンティ・ホール問題
1990年代に米国で大きな議論になった問題です.
(あなたが最初に扉Xを選んだあと)「扉Yのうしろに車があって司会者が扉Zを開ける確率」+「扉Zのうしろに車があって司会者が扉Yを開ける確率」
ロジスティック写像
この名前を出さずにいきなり以下の式が「謎ではない謎の例」として登場します.
ロジスティック写像は$x_n$の2次関数になっていて,頂点は$(\frac{1}{2}, \ \frac{a}{4})$となるので,[0,1]から[0,1]への写像にするため,0≦$\frac{a}{4}$≦1,すなわち0≦$a$≦4になります.上のλ=($a$=)3.57という値はある数列の極限値ですが,これより大きい値の生物の個体数の推移はカオスになるという境界(ファイゲンバウム点)になっています.
[Reference]
カオスとフラクタル
山口昌哉著 1986年 ブルーバックス
ロジスティック写像
https://sites.google.com/site/cinderellajapan/cinderellade-kaosu/rojisutikkushazou
モンティ・ホール問題
1990年代に米国で大きな議論になった問題です.
あなたがテレビのゲーム番組に出るとする.このゲーム番組の目的は,賞品の車をあてることだ.ゲーム番組の司会者はあなたに3つの扉を見せる.この3つの扉のうちの1つのうしろに車があり、残りの2つの扉のうしろにはヤギがいるという.司会者はまず1つの扉を選ぶようにという.あなたは扉を1つ選ぶけれど,それは開けてもらえない.それから司会者はあなたが選ばなかった扉の1つを開けてヤギを見せる(なぜなら司会者はその扉のうしろになにがあるか知っている).それから司会者は、あなたが残りの扉を開けて車かヤギのどちらかを手に入れる前に1度だけ考えを変えてもいいという.そこで司会者はあなたに,考えを変えてもう1つの開けていない扉を選ぶかどうかたずねる.あなたはどうすべきか?
3つの扉をそれぞれX, Y, Zと呼ぶこととする.CXを扉Yのうしろに車がある事象とし, CY, CZも同様とする.HXを司会者が扉Xを開ける事象とし,HY, HZも同様とする.あなたが扉Xを選んだと仮定すると,考えを変えてちがう扉を選んだときに車が当たる確率は以下の式によって求められる.従って,考えを変えてちがう扉を選んだ方が車の当たる確率が高いということになります.これはもともとモンティ・ホールという人が司会をしていたTV番組の中のゲームですが,今は高校の数学の教科書の「条件付き確率」のところで紹介されています.当時は当たる確率が直観的な1/2なのか,正しい2/3なのかで大きな議論になりました.上の文字式の意味は次のようになります.
P(HZ∩CY)+P(HY∩CZ)
=P(CY)P(HZ|CY)+P(CZ)P(HY|CZ)
=(1/3×1)+(1/3×1)
=2/3
(あなたが最初に扉Xを選んだあと)「扉Yのうしろに車があって司会者が扉Zを開ける確率」+「扉Zのうしろに車があって司会者が扉Yを開ける確率」
ロジスティック写像
この名前を出さずにいきなり以下の式が「謎ではない謎の例」として登場します.
ここに生き物の数の公式がある.
Nnew=λNold(1-Nold)Nnewはある年の個体密度を表し,Noldは前年のそれを表す.λはある定数である.
λが1より小さいならば,個体数はだんだん減って絶滅に至る.λが1と3のあいだであれば,個体数は増え,定常状態になる.そしてλが3と3.57のあいだの場合は,個体数は周期的に変動するようになる.しかし,λが3.57より大きいときはカオスになる.生物の個体数の推移を表すロジスティック方程式という微分方程式$$\frac{dN}{dt}=\frac{r}{K} (K-N)N$$があり,これを普通に解くとロジスティック関数が得られますが,小説に登場した式を得るには,この左辺の微分係数を差分商$\varDelta N/\varDelta t$に置き換えて次のように変形します.$$\frac{N_{n+1}-N_n}{\varDelta t}=\frac{r}{K} (K-N_n)N_n$$$$N_{n+1}=N_n+r\varDelta t N_n-\frac{r\varDelta t}{K} N_n^2$$$$N_{n+1}=\{ (1+r\varDelta t)-\frac{r\varDelta t}{K} N_n \} N_n$$この両辺に$\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}$を掛けて,$$\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_{n+1}=\{ (1+r\varDelta t)-\frac{r\varDelta t}{K} N_n \} \frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_n$$$$\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_{n+1}=(1+r\varDelta t)\{ 1-\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)} N_n \} \frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_n$$ここで$\frac{r\varDelta t}{K(1+r\varDelta t)}N_n=x_n$,$1+r\varDelta t=a$とおけば,$$x_{n+1}=a(1-x_n)x_n$$この漸化式はロジスティック写像と呼ばれています.$x_n$はある時刻の個体数の割合,$x_{n+1}$はその次の時刻の個体数の割合です.生物によって$a$の値が異なり,様々な個体数推移パターン(絶滅,定常状態,周期的変動,カオス)があります.
ロジスティック写像は$x_n$の2次関数になっていて,頂点は$(\frac{1}{2}, \ \frac{a}{4})$となるので,[0,1]から[0,1]への写像にするため,0≦$\frac{a}{4}$≦1,すなわち0≦$a$≦4になります.上のλ=($a$=)3.57という値はある数列の極限値ですが,これより大きい値の生物の個体数の推移はカオスになるという境界(ファイゲンバウム点)になっています.
[Reference]
カオスとフラクタル
山口昌哉著 1986年 ブルーバックス
ロジスティック写像
https://sites.google.com/site/cinderellajapan/cinderellade-kaosu/rojisutikkushazou