最大最小 余弦定理 微分
地方の離島に住んでいて東京の大学への進学を目指す女子高生と,東京で大学受験勉強中の男子高生が同じ通信教育を受けていて,それが縁と言えるかどうか分かりませんが最後には出会うというストーリーのCMで,あの大ヒット映画「君の名は。」の原点にもなった作品です。
全く見知らぬどうしですが,添削担当者が2人の共通点を見つけています.
添削担当者A「あれ?」その解答と添削の一部が見えたので,そこから問題を推測してみました.
添削担当者B「どうしました?」
添削担当者A「いやあ,単純なミスも証明の組み立ても,この子たちよく似ててねえ.」
[推測される問題]
2点A(2,0)とB(6,0)を通る円がy軸の正の部分と共有点Rを持つとき,∠ARBの最大値を求めよ.
[解答例]
共有点がR1,R2の2つあっても,同じ弧の円周角なので,∠AR1B=∠AR2B=∠ARBとして考えます.
R(0,y)とすると,$AR=\sqrt{y^2+4}$,$\ BR=\sqrt{y^2+36}$,$AB=4$だから余弦定理より
\begin{align}
\cos{\angle ARB}&=\frac{(y^2+4)+(y^2+36)-4^2}{2\sqrt{y^2+4}\sqrt{y^2+36}}\\
&=\frac{2y^2+24}{2\sqrt{(y^2+4)(y^2+36)}}\\
&=\frac{y^2+12}{\sqrt{(y^2+4)(y^2+36)}}
\end{align}この式をf(y)としてyで微分して解く方法が解答の一部に見られました.一応計算してみましたが,これは計算がかなり大変です.$$f'(y)=\frac{16y(y+2\sqrt{3})(y-2\sqrt{3})}{\sqrt{y^2+4}\sqrt{y^2+36}(y^2+4)(y^2+36)}$$ここまで正しく計算できれば,0と$\pm2\sqrt{3}$で極値を持つことが分かります.
添削では$y^2+12=t$とおいて解いています.
\begin{align}
\cos{\angle ARB}&=\frac{t}{\sqrt{(t-8)(t+24)}}\\
&=\frac{t}{\sqrt{t^2+16t-192}}\\
&=\frac{1}{\sqrt{1+\frac{16}{t}-\frac{192}{t^2}}}
\end{align}さらに$\frac{1}{t}=s$とおくと,√の中は,$$-192s^2+16s+1=-192\left(s-\frac{1}{24}\right)^2+\frac{4}{3}$$従って,√の中は$s=\frac{1}{24}$のとき最大値$\frac{4}{3}$
すなわちt=24のとき,すなわち$y^2+12=24$のとき,すなわち$y=2\sqrt{3}$のとき,$\cos{\angle ARB}$の最小値は$\frac{\sqrt{3}}{2}$なので,∠ARBの最大値は30°になります.結局,共有点が1つのとき(接するとき)に角度が最大になることが分かりました.
(2018/1/7追記)
映った解答のシーンだけを見て問題を推測しましたが,上の2つ目の解答の直前にこんなシーンがあったことに気づきました.小問(1)(2)があったようです.
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[推測される問題]
2点A(2,0)とB(6,0)がある.
(1) この2点を通る円がy軸の正の部分と共有点を持つための条件を求めよ.
(2) 点Rがy軸上の正の部分にあるとき,∠ARBの最大値を求めよ.
[略解]
小問(1)
円の中心を(4,b)とすると,半径は$\sqrt{b^2+4}$なので,円の方程式は$$(x-4)^2+(y-b)^2=b^2+4 \tag{3}$$x=0を代入して,$$y^2-2by+12=0 \tag{4}$$D≧0より$$b^2-12 \geqq 0$$b>0より$$b\geqq2\sqrt{3}$$
小問(2)
[別解1] (1)の結果を使う解答
(1)より,円がy軸と接するときの接点$(0, 2\sqrt{3})$をRとすると∠ARB=30°.円がy軸と2点で交わるときの交点の1つをR'とすると,Rは円の内側にあるので,∠AR'B<∠ARB
よって,∠ARB=30°が最大.
[別解2] (1)の結果を使わずベクトルの内積を使う解答
R=(0,y)とすると,$\overrightarrow{RA}=(2,-y)$,$\overrightarrow{RB}=(6,-y)$なので,$$\cos{\angle ARB}=\frac{y^2+12}{\sqrt{y^2+4}\sqrt{y^2+36}}$$この続きは上と同様.
[別解3] (1)の結果を使わず正接の加法定理を使う解答
∠BRO=$\alpha$,∠ARO=$\beta$とすると,$\tan\alpha=\frac{6}{y}$,$\tan\beta=\frac{2}{y}$なので,$$\begin{align}
\tan{\angle ARB}&=\frac{\tan\alpha-\tan\beta}{1+\tan\alpha\tan\beta}\\
&=\frac{\frac{6}{y}-\frac{2}{y}}{1+\frac{6}{y}\cdot\frac{2}{y}}\\
&=\frac{4y}{y^2+12}\\
\end{align}$$これをyで微分すると,y=$2\sqrt{3}$で極値になることが分かります.こちらの方が微分の計算は簡単なんですが,次のようにするともっと楽に解けます.$$\frac{4y}{y^2+12}=\frac{4}{y+\frac{12}{y}}$$とすれば,分母は相加相乗平均の関係より,$$y+\frac{12}{y}\geqq2\sqrt{12}=4\sqrt{3}$$なので,$$\tan{\angle ARB}=\frac{4y}{y^2+12}\leqq\frac{4}{4\sqrt{3}}=\frac{1}{\sqrt{3}}$$よって,∠ARBの最大値は30°になります.
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