Sunday, 19 October 2014

小説 お任せ!数学屋さん

台形の加重平均 他多数
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 r=(1-n)p+nq
「台形には必ず平行な2辺が存在するよね。いわゆる上底と下底。その上底と下底の間に、さらにもう1本平行線を引く場合に使う公式なんだよ。」
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 第1章(問1)では計算が丁寧だったのに、第2章(問2)ではかなり公式の導出やあとの計算が端折られていて、分かりやすい図はいつ出てくるのかと思ったら結局出てきませんでした。あのままでは分かりづらいので、図と計算をここにメモしておきましょう。
まずP.99の公式の導出。右図でAB//DFとします。△DEN∽△DFCよりn:1=EN:FCなので、
 n:1=(r-p):(q-p)
 r-p=n(q-p)
 r=p+nq-np=(1-n)p+nq
次にP.105の2次方程式の計算。
 {45+(15n+45)}×AM÷2={(15n+45)+60}×MB÷2
 {45+(15n+45)}×AM={(15n+45)+60}×MB
 {45+(15n+45)}×70n={(15n+45)+60}×70(1-n)
 {45+(15n+45)}×n={(15n+45)+60}×(1-n)
 15n^2+90n=15n+105-15n^2-105n
 30n^2+180n-105=0
 2n^2+12n-7=0
それにしても、中2の生徒に中3で習う相似、2次方程式、平方根、解の公式などの話をしたら、当然魔法のように聞こえるでしょうね。読んでいてぜひほしいと思った学校のグラウンドの図も作っておきました。

Monday, 13 October 2014

映画 真夏の方程式

放物線の水平移動距離
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「エル=ジー分のブイ2乗サイン…。さっぱりわからん。」
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 映画のエンドロールの中で、少年の夏休みの自由研究レポートのデータを見たときの父親の台詞です。小説では登場しなかった等式が映画では登場しました。その式は、放物線が多数描かれた紙の右上にメモのように書いてありました。
 L=(v^2sin2θ)/g
初速度v、水平面との角度θで飛ばされた物体のt秒後の垂直方向の位置(高さ)hは、重力加速度をgとすると、
 h=vsinθ・t-1/2gt^2
水平方向の位置(飛距離)Lは
 L=vcosθ・t
と表せます。飛行後の着地点は、再びh=0となるのでこれを解くと、
 t=(2vsinθ)/g
この時刻をLに代入すると、
 L=vcosθ・(2vsinθ)/g=(v^2・2sinθcosθ)/g=(v^2sin2θ)/g
これが登場した等式です。さて、物体を水平方向に200m以上飛ばそうとすると、これにL=200を代入した
 200=(v^2sin2θ)/g
を満たすvよりも大きな速度で飛ばさなければいけません。空気の抵抗を無視しているので、θ=45°で最も遠くへ飛ばせると考えれば、sin2θ=1なので、
 200=v^2/g
重力加速度g=9.8m/sec^2なので、
 200=v^2/9.8
を解くと、
 v^2=1960
 v=√1960≒44.2718…
となり、初速度45m/secは必要ということになります。
 ところで、小説にはこの等式は登場しなかったので、タイトルの「真夏の方程式」が意味する方程式はこの式ではないでしょう。少年が「これからいろいろなことを学習し、成長していくことで、今疑問に思っていることがいつかは解決する」ということを「方程式」という言葉で比喩しているものと思われます。