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2014/5/11産経新聞
■(1)関税率(2)期間(3)緊急制限(4)特別枠
日米など12カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の首席交渉官会合が12~15日、ベトナム・ホーチミンで開かれる。続く19~20日にはシンガポールで閣僚会合が予定されており、交渉は大きな山場を迎える。牛・豚肉など重要農産品5分野の関税の扱いで対立してきた日米両政府は、関税率などの4条件を同時決着させる方針。一方、新興国も参加する今回交渉は知的財産権の問題なども焦点で、複雑な“連立方程式”を解くような協議となりそうだ。
(中略)
交渉筋によると、重要5分野について(1)関税率をどこまで下げるか(2)引き下げにかける期間(3)輸入が急増した際に関税率引き上げを可能にする「特別緊急輸入制限(セーフガード)」の設定(4)低関税率の特別輸入枠の設定-という“4次方程式”から1つの解を導き、両国の妥結を図る方針で一致したという。
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始めに「連立方程式」といっておいて最後に「4次方程式」というのはおかしいですね。内容から考えると、関連する4つの問題を解決しようとしているので、「4次方程式」ではなく「4元連立方程式」のほうが適すると思います。
代数方程式の解法にはおもしろい歴史があります。
・2次方程式の解の公式発見 9世紀 フワリズミー(アラビヤ)
・3次方程式の解の公式発見 16世紀 フォンタナ(イタリア)
・3次方程式の解の公式公表 16世紀 カルダノ(イタリア)
・4次方程式の解の公式発見 16世紀 フェラーリ(イタリア)
・5次以上の方程式に解の公式がないことを証明 19世紀 アーベル(ノルウェー)
・5次以上の方程式が解を持つ条件 19世紀 ガロア(フランス)
カルダノはフォンタナをだまして3次方程式の解法を聞きだし、自分の著書で公表しました。フォンタナには可哀そうですが、3次方程式の解の公式は「カルダノの公式」と呼ばれています。
アーベルが5次以上の方程式は一般に代数的には解けない(冪根と四則演算だけで書ける解の公式が存在しない)ことを証明した後、ガロアはどんな場合に与えられた方程式が代数的な解を持つのかを明らかにしました。内容が難しすぎて、死後14年も経ってからその業績が注目されたそうです。