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おばばさま「タケノコは積んである。下の段は13個。2段目は12個。段々減って一番上は1個だと全部で何個かな。」
猪山直之「俵杉算ですな。至極簡単です。91です。」
おばばさま「おっほほほほほほ、ご名算。」
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これは俵を杉の木の形に積んでいくので俵杉算といいます。
1+2+3+……+13=91
という計算ですが、高校数学では等差数列の和の公式
Σk=n(n+1)/2
を使いますね。あとで原作を読んで知りましたが、映画の中で和算の問題を出題していたおばばさまの父は御算用者(ごさんようもの)の小頭、弟は加賀藩で屈指の数学者だったそうです。ところで同じ計算ですが、世界3大数学者の一人であるガウスが少年の時、
1+2+3+....+100=5050
を即座に計算して出題した先生を驚かせたという逸話は有名です。さて、これが無限個の和になると∞になるはずですが、ζ関数では、
ζ(−1)=1+2+3+……= −1/12
となります。不思議ですね。(これを解説するサイトがありますので検索してみてください)私がこれまでに最も驚いた無限和は次の式(バーゼル問題)です。なぜ成り立つのかその理由を知った時の感動は今も忘れません。
ζ(2)=1/1^2+1/2^2+1/3^2+……=π^2/6
もうひとつ印象的だったのが、調和級数は
ζ(1)=1/1+1/2+1/3+……=∞
なのですが、n項までの和からln(n)を引いて極限をとると、lim[n→∞](Σ(1/k)-ln(n))=0.57721…
という定数(オイラーのガンマ=Euler's γ)になるということです。
あとひとつおばばさまが出題するシーンがあったのですがよく聞き取れませんでした。ご存知の方はご一報ください。この部分です。
----あとひとつおばばさまが出題するシーンがあったのですがよく聞き取れませんでした。ご存知の方はご一報ください。この部分です。
おばばさま「円の中の○○○○」
猪山直之「円周法ですか。難題ですなあ。」
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2016年10月28日追記
先日テレビで再放送があったので,録画してこの台詞を何度も聞きなおしてみました.すると次のように聞こえました.
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おばばさま「円の中の正八角形は…」
猪山直之「円周法ですか。難題ですなあ。」
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初期の和算書では「円周法」は円周率を意味し,その近似値を円に内接する正多角形の周長から求めていたそうなので,この場合は正八角形の周長を問うているのだと思われます.半径1の円に内接する正八角形の周長を計算してみましょう.円を8等分して分点を結ぶと頂角45度の2等辺三角形が8個できます.分点を結んでできた正八角形の1辺をaとすると,余弦定理より,a^2=1+1-2cos45°=2-√(2)なので,a=√(2-√(2))となり,周長8a=8√(2-√(2))≒6.12となります.因みに円周は2π≒6.28ですね.