平方根 sine cosine tangent
1973年にペギー葉山さんの歌で「みんなのうた」に初登場,その後何回か再放送され,2016年の放送では,ネットで「算数というには難しすぎる」と話題になった曲です.登場した問題を見てみましょう.
[1番]$$\frac{2+\sqrt{2}}{\sqrt{2}+1}$$いきなり算数というより数学ですね.これを解きましょうということなので,この式を計算して簡単な値にせよということでしょう.よく見ると分子が$\sqrt{2}$を共通因数として因数分解できるので,分母の有理化をしなくてもいいですから,日本の中3のレベルになります.答を「たったわずかの$\sqrt{2}$」と表現してるところが気になりますね.「たったわずか」かどうかは誰が決めるのでしょう.
[2番]$$\sin\theta=\cos\theta\times\sqrt{3}$$これを解きましょうということは,この方程式を満たす$\theta$の値を求めることなので,日本の高校数学Ⅰのレベルでは,$0\leqq\theta\lt180^{ \circ }$のとき,$\tan\theta=\sqrt{3}$より$\theta=60^{ \circ }$と答えます.ところが動画では,直角三角形の斜辺の長さを求めて,$\sin\theta$と$\cos\theta$の値を答としているのが気になります.しかも,$\sin\theta$は分数で求めているのに,$\cos\theta$は分数で表示しながら歌詞では小数で答えているところがまた気になりますね.
[3番]$$\eta=\cos{\left(\theta+\frac{\pi}{2}\right)}$$これをかけということなのでグラフでしょう.これは日本の高校数学Ⅱの範囲です.まず気になったのが,"$y=$"ではなく"$\eta=$"となっていることです.日本の高校数学の教科書では独立変数にギリシャ文字$\theta$を使っていても従属変数はyを使っています.この動画の数式の作者はギリシャ文字で合わせるために,第2の未知数としてよく使われる$\eta$(イータ)を使ったのでしょう.実際,y=f(x)をη=f(ξ),f(x,y)をf(ξ,η),(x,y,t)を(ξ,η,τ)と表す数学書があります(ξはクシー,τはタウと読みます).
またもう一つ気になったのが,歌詞の意味です.
♪ θプラスの2分のπ そのコサインをかけ ♪
「コサインをかけ」なんて言い方はあまりしませんが,その後の展開から考えると,この方程式が表すグラフを書けということみたいです.
♪ コサインθのグラフが 1,0,マイナ(ス)1 ♪
♪ θプラスの2分のπ 2分のπずれる ♪
♪ 0マイナス1 0プラス1で θと平行さ ♪
この1行目と3行目が分かりにくいですが,これは次の意味じゃないかと思います.
$\eta=\cos\theta$のグラフは点(0,1), (π/2, 0), (π, -1)を通る.それが負の方向に2分のπずれる.するとずれたあとの$\eta=\cos{\left(\theta+\frac{\pi}{2}\right)}$のグラフは点(0, 0), (π/2, -1), (π, 0), (3π/2, 1)を通る.θ軸方向への平行移動さ.
確かに算数(小学校まで)というよりは数学(中学以上)ですね.あと細かいことをひとつ.間奏は「パッパッパーヤ パッパッパパーヤ」を繰り返すのですが,字幕は「パッパッパーヤ パッパパッパパーヤ」になっていました.これも大変気になりました(笑).
$\eta=\cos\theta$のグラフは点(0,1), (π/2, 0), (π, -1)を通る.それが負の方向に2分のπずれる.するとずれたあとの$\eta=\cos{\left(\theta+\frac{\pi}{2}\right)}$のグラフは点(0, 0), (π/2, -1), (π, 0), (3π/2, 1)を通る.θ軸方向への平行移動さ.
確かに算数(小学校まで)というよりは数学(中学以上)ですね.あと細かいことをひとつ.間奏は「パッパッパーヤ パッパッパパーヤ」を繰り返すのですが,字幕は「パッパッパーヤ パッパパッパパーヤ」になっていました.これも大変気になりました(笑).