英数字 三次元空間座標 緯度 経度
予知能力があるとされる少女初音未来を中心に起こる数々の事件が描かれた話です.
皇(すめらぎ)警部 「違う……そもそも8桁のパスワードが適当に打って当たるハズがないだろう.全部で218兆3401億0558万4896通りあるんだぞ」英数字(alphanumeric)8桁ということは,英字(alphabetic)26文字と数字(numeric)10文字で合計36文字が8桁なので,重複順列 36Π8=36^8=2兆8211億0990万7456 (通り) のはずです.しかし値が違うので,逆に218兆3401億0558万4896の8乗根を計算してみると62になりました.62=26×2+10なので,ここでは大文字と小文字を区別しているということが分かりました.それにしてもこんな数字を覚えているはずがないのにすらすらと言えるのが不思議ですね.
波多野巡査 「そんなにあるんすか!?」
所長「20XX年に打ち上げられた人工衛星"おまわり参号(仮称)"は,明日―――世界時において6月6日正午には,地球を中心とする3次元空間上の座標,(x,y,z)=(171,1789,6841).緯度経度では,北緯75.3度,東経146.1度の,高度およそ7000メートルに存在することになる.これも立派な未来情報の一つだ」この座標から緯度,経度,高度を計算してみましょう.原点をO,点(171,0,0)をA,点(171,1789,0)をB,点(171,1789,6841)をPとします.
[緯度] まず北緯のほうを確認してみます.$$OB=\sqrt{171^2+1789^2}≒1797$$なので,北緯は次の値になり,上の台詞の値と一致しました.$$\arctan\frac{BP}{OB}=\arctan\frac{6841}{1797}≒75.3°$$
[経度] OBとx軸とのなす角は,$$\arctan\frac{AB}{OA}=\arctan\frac{1789}{171}≒84.5°$$になります.東経146.1度なので,146.1-84.5=61.6° が子午線と交わる赤道円の半径とx軸とのなす角になります.すなわち,x軸が東経61.6度の経線と交わっているとすれば,この座標の位置は東経146.1度になります.
[高度] まずOPの長さ(地球の中心から人工衛星までの距離)を求めます.$$OP=\sqrt{171^2+1789^2+6841^2}≒7073$$ここから地球の赤道半径約6378kmを引くと,7073-6378=695 (km) なので,高度は上の台詞の「およそ7000メートル」ではなく,およそ700kmということになります.飛行機の平均高度が約10000m (10km) なので,人工衛星は飛行機より約70倍高いところにあることがわかります.
因みに人工衛星の高度,速度,周期を調べてみたところ,重力加速度をg,地球の赤道半径をRとし,高度h(km)で回っている円軌道の場合,その速度v(km/sec)は次の式で計算できることがわかりました.
$$v=\sqrt{\frac{gR^2}{R+h}}$$
従って人工衛星の速度は、高度だけで決まり,高いところほど遅いということになります.軌道の円周2π(R+h)をこの速度vで割れば周期 t(秒)が計算できます.
$$t=\frac{2\pi(R+h)}{v}$$
高度 速度 周期
200km 7.8km/sec 1時間28分
500km 7.6km/sec 1時間34分
1,000km 7.4km/sec 1時間45分
36,000km 3.1km/sec 23時間56分(静止軌道)
380,000km 約1.0km/sec 約27日間
問題
上に出てきた高度700kmの人工衛星の速度,周期を求めよ.
(答)約7.5km/sec, 約1時間39分
参考
「人工衛星の高度と速度」宇宙航空研究開発機構(JAXA)