「ちょっと寄り道していっても、良いですか?」
「どこへ?」
「いえ、通り道ですけれど、途中で、ちょっとだけ」
「どこ? 言いなさい。なにか後ろめたいんだ」「あれ、どうして、わかるんですか?」
「貴女の顔、見ていたらわかる」
「顔、見てないじゃないですか」西之園は言った。国枝はずっと前を向いたままだ。
「声で、顔がわかる」
「へえ……、相関係数がかなり落ちそうですね。それは」
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相関係数は、2つのベクトルの内積をそれらの大きさの積で割ったものですから、2つのベクトルのなす角の余弦(cosθ)になります。-1≦cosθ≦1なので、1に近ければ相関係数は高く、-1に近ければ低いということになります。もう少し前後を読まないと分かりにくいかもしれませんが、ここでの「相関係数」という言葉の使い方はちょっとおかしいと思いました。「かなり落ちる」といっても-1より小さくはなりません。ここでは
「へえ……、私の声と顔は相関係数が高いんですね」
のほうが適切ではないでしょうか。
φという文字がよく使われる例として、黄金比の値φ、オイラーのφ関数があります。大文字のΦは標準正規分布の累積分布関数としてよく使われます。酷似していますが、ロジスティック分布の累積分布関数はロジスティック関数になります。画像検索してみてください。
また、"Phi"は米米CLUBの10枚目のアルバムのタイトルでもありますね。
それにしてもこの小説の登場人物は、戸川(あさかわ)とか、加部谷(かべや)とか、海月(くらげ)とかで読みにくいです。